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調停成立後の手続きは?【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-15(24)24

2013.08.18 Sun

【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-15(24) 24  調停成立後の手続きは?

 ようやく調停が成立し、離婚や親権、養育費や財産分与、年金分割を決められました。今後いろいろな手続が必要ときいて慌てています。どんな手続が必要ですか。

◎ まずは調停調書を

 裁判所に申請して(手続は担当の書記官に確認してください)、調停調書正本、届出用の調停調書謄本(離婚のみ記載)、調停調書謄本(年金分割の部分のみ記載)を受け取りましょう。
調停調書正本は、今後もし相手方が合意通り養育費や財産分与の支払いをしてくれず、強制執行が必要になったときに必要です。すべての支払いが終わるまで、大切に保管しておきましょう。

◎ 離婚届出

 離婚と親権のみ記載された調停調書謄本は、役所の戸籍係に提出します。なお、新しい戸籍の本籍地を定めたりすることに便利なことから、戸籍筆頭者でない側の方が、提出することが多いようです。具体的には、2で説明します。
年金分割の部分のみ記載してある調停調書謄本については、4で説明します。
 役所に調停調書抄本を持参し、離婚を届け出ます。

 婚姻中の氏を離婚後も使用する場合(婚氏続称)は、「離婚の際に称していた氏を称する届出」(用紙は役所にあります)を提出します(民法767条2項、戸籍法77条の2)。離婚後3か月以内に手続すればいいのですが、何度も役所に行くのも面倒でしょうから、もう婚氏続称と決めているなら、離婚届と同時に提出するのが良いでしょう。戸籍筆頭者が調停の申立人だった場合は、調停条項としては、「相手方の申出により調停離婚する」と記載してもらい、相手方が届出ることを明確にしておきましょう。 

    旧姓に戻る場合は、上記書面の提出は不要ですが、戻る戸籍を指定しなければなりません。親の戸籍に戻ることもできますが、新たに本籍地を決めて自身が筆頭者の戸籍をつくるほうが一般的かもしれません。後者の場合には、あらたな本籍地を決めます。本籍地は日本国内であればどこでも構いませんが、住所と一緒にする人も多いようです。

 本籍地以外で届け出る場合、戸籍謄本1通を持参する必要がありますが、本籍地の役所に届け出るならば、不要です。
調停成立の日から10日以内に届ける必要があります(戸籍法77条が63条を準用)。10日を超えてしあうと、過料が課される場合があるので、速やかに提出しましょう。しかし、調停後、裁判所が年末年始の休みに入ってしまった場合など、調書作成が遅れることがあります。その場合10日を超えても事情を話せば、過料はかかりません。

 届出をして即時に新戸籍を入手することはできません。役所に入手できるめどを確認して、その後の手続きに必要な新戸籍を入手しましょう。

◎ 子どもの氏・戸籍変更

 子どもの親権者となったからといって、必ずしも子どもをあなたと同じ戸籍に移さなければいけないわけではありません。
しかし、子どもをあなたと同じ戸籍に移したい場合で、子どもが15歳未満の場合は、親権者であるあなたが法定代理人として、子の住所地の家庭裁判所に、子の氏の変更の許可の申立てを行います。15歳以上の場合は、子ども自身が申立てることになります。子が入っている元配偶者が筆頭の戸籍謄本を1通、あなたの新戸籍謄本1通が必要です。その他に必要な書類もありますので、家庭裁判所に確認してください。申立ての書式は家庭裁判所に用意されているほか、裁判所のホームページからもダウンロードできます。
離婚調停のときのように時間はかかりません。東京家庭裁判所では1日で許可されているようです。
変更許可決定を受け取ったら、それを子どもの本籍地の役所かあなたの本籍地の役所に提出します(必要書類は、役所に確認してください)。あなたの戸籍に、子どもが移ることになります。
 
◎ 年金分割

 調停調書謄本に年金分割の按分割合が記載されているからと安心して放置していてはいけません。調停調書謄本と年金手帳、戸籍謄本、印鑑等を持参して(事前に年金事務所に必要書類を確認しましょう)、年金事務所に行って、請求してください。離婚から2年放置してしまうと、請求できませんので、くれぐれも速やかに手続をとってください。

次回は、離婚後の各種手当や、保健などの手続についてご説明します。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 弁護士 / フェミニズム,家族,離婚, 打越さく良,エッセイ,離婚ガイド,親権