
日本もドイツも高齢化社会です。
人間、「老いる」のはみんな同じですが、「老いとの向き合い方」には国や文化による違いがあると感じます。
たとえば「高齢者の恋愛」について、ドイツでは応援するような雰囲気があります。配偶者に先立たれた人が新たなパートナーと恋愛をすると、子供も親の恋愛を応援します。
一方、日本では「高齢者の恋愛」があまり歓迎されないことがあります。「年老いた親の恋愛なんて見たくない」そう感じる人も日本には多いのです。
認知症のように避けて通れない深刻な問題もあります。施設に入所した認知症の人が「今から職場に向かわなくては」と何十年も前に勤めていた職場に出勤しようとしたり、既に取り壊された実家に向かおうとしたりするのは万国共通。認知症の人に少しでも「したいことをさせてあげる」ために、ドイツでは2006年に「認知症の人のためのバス停留所」が初めて作られました。これは介護付き高齢者施設に作られたいわば「フェイクのバス停」です。だから、どんなに待ってもバスが来ることはありません。ところが、バス停に並ぶ認知症の高齢者は幸せそうにしています。認知症なので、バス停に数分間並んでいるうちに、自分が何をしようとしていたか忘れてしまいます。でも不思議なことに、彼らがバス停で待った後でホームに戻ると、「お出かけしてきた」気分で満足しているのだといいます。
入所者の家族にも好評だったため、「バスの来ないバス停留所」はドイツ全土に広まっていき、今や全国の高齢者施設の前にこの「バスが来ないバス停留所」があります。
お金のこと、終の棲家のこと、近所付き合い、相続、介護、お墓の話にいたるまで本の中で様々な「ドイツ流」を紹介しています。
ドイツ人の飾らず悩まず生きるヒント満載の一冊ではありますが、 決して「ドイツは素晴らしい!」という本ではありません。基本的に「介護」について「出羽守(デワノカミ)無し」だと思います。理想の老いも、理想の介護も、理想の死に方も、世界中、どこにもありません。それでも元気に老いるヒントは、必ず見つかります。人間、死ななければ、老後は必ずやってくるわけですから、この本がその「ちょっとしたヒント」になれたら幸いです。
(著者 サンドラ・ヘフェリン)
◆書誌データ
書名 :「ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる」
著者 :サンドラ・ヘフェリン
頁数 :272頁
刊行日:2025/03/27
出版社:講談社
定価 :1742円(税込)









