WAN女性学ジャーナル

リサーチ(研究)・アクション(活動)・カルチャー(文化)の
3つの領域で、あなたの思いを読者に発信します。

コメンタリーボード紹介

  • 亀田 温子(かめだ あつこ)

    1950年東京生まれ。放送大学、日本女子大学非常勤講師などを経て、十文字学園女子大学教授、現在同大学名誉教授。専攻は教育社会学、教育のジェンダー分析。大学院で女性学、ジェンダー論の嵐に遭遇し、その後教育のもたらすジェンダー再生産の構造分析・女性のエンパワーメントにつながる学びのテーマに取り組む。1980年代後半文部省婦人教育課(現在・男女共同参画共生社会学習・安全教育課)に勤務し、国際婦人年に絡む行政の動き、国立女性教育会館事業にも関わる。著書に『女子高等教育の座標』(共著、垣内出版、1986年)、『学校をジェンダー・フリーに』(共編著、明石書店、1995年)、『入門・職業とジェンダー』(共編著、日本評論社、1998年)、『女性校長のキャリア形成』(共著、尚学社、2009年)など。

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  • 故 原 ひろ子(はらひろこ) 2019年ご逝去(享年85歳) 

    お茶の水女子大学名誉教授。元APWW(Asia Pacific Women’s Watch)代表、元・日本学術会議人間の安全保障とジェンダー委員会委員、ほかお茶の水女子大学/放送大学/城西国際大学などで教授として勤務。元・内閣府男女共同参画会議議員。著書『ヘヤー・インディアンとその世界』平凡者(1989)、『子どもの文化人類学』晶文社(1979以来続刊中)、『男女共同参画と男性・男児の役割』(近江美保・島津美和子との共編著)明石書店(2007)など。

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  • 江原由美子(えはら ゆみこ)

    江原由美子 (Ehara Yumiko)東京都立大学名誉教授。(1952―) 社会学者。ジェンダー研究・フェミニズム理論研究者。東京大学に学ぶ。その後お茶の水女子大学、東京都立大学、横浜国立大学などで、社会学とジェンダー研究を教えた。主著には、社会学の構造化理論などに基づき、ジェンダー秩序の形成を論じた『ジェンダー秩序』(2001=2021)がある。女性の発話や男女間の会話的相互行為における「権力」を論じた研究(「からかいの政治学」『女性解放という思想』所収)も著名。その他、『装置としての性支配』『フェミニズムのパラドックス』『自己決定権とジェンダー』、編著に『フェミニズム論争』『フェミニズムの主張』ほか多数。

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  • 上野千鶴子(うえの ちづこ)

    上野千鶴子(うえの ちづこ) 1948年生まれ。平安女学院短期大学、京都精華大学、東京大学大学院等を経て現在東京大学名誉教授。女性学・ジェンダー研究のパイオニア世代。セクシュアリティやケアにも関心が。WANには設立から関わって、現在3代目理事長。ウェブジャーナルを作るのは当初からの夢でした。著書に『家父長制と資本制』『差異の政治学』『生き延びるための思想』(以上岩波書店)『ナショナリズムとジェンダー』(青土社)『<おんな>の思想』(集英社インターナショナル)『女ぎらい』(紀伊國屋書店)『女たちのサバイバル作戦』(文春新書)『ケアの社会学』(太田出版)など多数。

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  • 阿部 裕子(あべ ひろこ)

    現在 、内閣府男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会委員、かながわ人権政策推進懇話会委員、川崎市男女平等推進審議会委員、相模原市共同参画専門員、(一般社団)インクルージョンネットかながわ理事、かながわ生活困窮者自立支援ネットワーク代表、特定非営利活動法人かながわ女のスペースみずら理事

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  • 斎藤 美奈子(さいとうみなこ)

    1956年、新潟市生まれ。文芸評論家。編集者を経て、1994年、『妊娠小説』(筑摩書房。後にちくま文庫)でデビュー。以後、新聞や雑誌で、書評、文芸評論、時事コラムなどを執筆する。2002年、『文章読本さん江』(ちくま文庫)で第1回小林秀雄賞受賞。他の著書に『名作うしろ読みプレミアム』(中央公論新社)、『学校が教えないほんとうの政治の話』(筑摩書房)、『文庫解説ワンダーランド』(岩波新書)など多数。

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  • 伊藤比呂美(いとう ひろみ)

    1955年、東京都生まれ。性と身体性をテーマに、過激な言葉づかいで現代詩を揺さぶり続ける。『河原荒草』や『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で、説経節と現代詩を融合した語り物の世界を作りあげ、『読み解き般若心経』『女の絶望』『女の一生』『父の生きる』『切腹考』などで、生活の中の死と生を力強く表現してきた。米国カリフォルニア在住だったのが今年(2018年)熊本に戻ってきた。3年間早稲田で教えます。写真 吉原洋一

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  • 伊藤公雄(いとう きみお)

    1970年代末頃から近現代社会の男性性を対象にした研究をテーマのひとつにしてきました。男性主導社会としての近代社会のたそがれ状況に際して、「男性学・男性性研究」の視点から、過去をふりかえりつつ、未来社会を構想してみたいと考えています。現在、京都産業大学で社会学を教えています。専攻は、文化社会学・政治社会学、ジェンダー研究です。うさぎ年、天秤座、O型です(意味があるかどうかはわかりませんが)。

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  • 浅倉むつ子(あさくら むつこ)

    1948年生まれ。東京都立大学大学院博士課程修了後、東京都立大学法学部教授を経て、現在、早稲田大学法学学術院教授。法学博士(1993年、早稲田大学)。労働法、ジェンダー法専攻。日本学術会議会員(2003年~2014年)、日本労働法学会代表理事(2003年~2005年)、ジェンダー法学会理事長(2007年~2009年)などを歴任。最近の関心事はイギリスの2010年平等法の研究。主な著書に、『雇用差別禁止法制の展望』(有斐閣、2016年)、『同一価値労働同一賃金原則の実施システム』(森ます美と共編著、有斐閣、2010年)、『労働法とジェンダー』(勁草書房、2004年)、『労働とジェンダーの法律学』(有斐閣、2000年)、『均等法の新世界』(有斐閣、1999年)、『男女雇用平等法論-イギリス と日本』(ドメス出版、1991年)などがある。

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  • 戒能民江(かいのう たみえ)

    お茶の水女子大学名誉教授、専門はジェンダー法学・女性に対する暴力研究。性暴力禁止法をつくろう全国ネットワーク・女性と人権全国ネットワーク共同代表。現在、婦人保護事業を根本的に見直して、新たな女性支援事業の枠組みを構築するための運動に、もっとも力を入れている。主著に、戒能民江編著『危機をのりこえる女たち-DV法10年、支援の新地平へ』2013、信山社など。

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  • 米田佐代子(よねだ さよこ)

    70年近く昔新制高校に行くとき、「学年全体で女子生徒2名」という男子校に入学して以来、東京都立大学で25年間助手を務めたり「女性研究者は独身」と言われて意地で子どもを産んじゃったり「横紙破り」の人生でした。専門は日本の女性史。「平塚らいてう」という女を「ジェンダー偏見」から自由にとらえなおしたいと格闘しつつ「らいてうの家」に通っています。今年8回目の「年女」(84歳)ゆえ、「遠吠え」ではなく世の中の理不尽とケンカしたい。              似顔絵:北村ますみ画     

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  • 川上未映子(かわかみ みえこ)

    1976年8月29日、大阪府生まれ。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。2017年9月に刊行された『早稲田文学増刊 女性号』では責任編集を務めた。 2018年3月30日には短編集『ウィステリアと三人の女たち』 が刊行予定。

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  • 赤石千衣子(あかいし ちえこ)

    約30年前非婚のシングルマザーになる。NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長。当事者としてシングルマザーと子どもたちが生き生きくらせる社会をめざして活動中。社会保障審議会児童部会ひとり親家庭の支援施策の在り方に関する専門委員会参加人。社会福祉士。著書に『ひとり親家庭』(岩波新書)、編著に『母子家庭にカンパイ!』『シ ングルマザー365日サポートブック』ほかがある。

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  • 治部 れんげ(じぶ れんげ)

    1997年一橋大学法学部卒業、日経BP社で16年間、経済雑誌の記者を務める。2006~07年ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年からフリージャーナリスト。東洋経済オンライン、日経DUAL、Yahoo!ニュース個人等で執筆。東京都男女平等参画審議会委員。財団法人ジョイセフ理事。財団法人女性労働協会評議員。昭和女子大研究員。東大情報学環客員研究員。著書に『稼ぐ妻 育てる夫 夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)等。2児の母。

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  • 増原 裕子(ますはら ひろこ)

    LGBTアクティビスト/コンサルタント。 株式会社トロワ・クルール代表取締役、LGBT法連合会事務局長代理。2011年よりレズビアンであることをオープンにして積極的に発信をしている。慶應大学大学院修士課程、慶應大学文学部卒業。ダイバーシティ経営におけるLGBT施策の推進支援を手がける。経営層、管理職、人事・総務担当者、営業職、労働組合メンバー等を対象としたLGBT研修の実績多数。

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  • 池川 玲子(いけがわ れいこ)

    1959年生。女性史研究。20代後半から、米田佐代子、折井美耶子らの率いる在野研究会で修業。40代半ばで大学院に進学し若桑みどりに師事。博論をもとにした『「帝国」の映画監督 坂根田鶴子 「開拓の花嫁」・一九四三年・満映』(吉川弘文館、2011)で青山なを賞受賞。以来、支脚を日本近現代女性史に、遊脚を文化表象に置いた研究を続けている。近刊に『ヌードと愛国』(単著、講談社、2014)、『〈妊婦〉アート論』(共著、青弓社、2018)等。

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  • 林 香里(はやし かおり)

    1963年名古屋市生まれ。ロイター通信東京支局記者、東京大学社会情報研究所助手、ドイツ、バンベルク大学客員研究員を経て、現在 東京大学大学院情報学環教授。 著書『メディア不信 何が問われているのか』岩波新書、2017年、『<オンナ・コドモ>のジャーナリズム ケアの倫理とともに』岩波書店、2011年(第4回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞受賞)、『テレビ報道職のワーク・ライフ・アンバランス 13局男女30人の聞き取り調査から』(谷岡理香と共編著)大月書店、2013年、ほか。専門: ジャーナリズム/マスメディア研究。 ホームページ http://www.hayashik.iii.u-tokyo.ac.jp/

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  • 小林 富久子(こばやし ふくこ)

    1943年生まれ。早稲田大学名誉教授。1970年代後半『フェミニスト』編集委員、その後、当時の仲間と日本女性学会設立。早稲田大学ジェンダー研究所初代所長。現在、城西国際大学客員教授。主な著書:『円地文子―ジェンダ―で読む作家の生と作品』(新典社)、『ジェンダーとエスニシティで読むアメリカ女性作家』(学芸書林)。翻訳書:トリン・ミンハ『月が赤く満ちる時』(みすず書房)、トリン・ミンハ『ここの中の何処かへ』(平凡社)

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  • 信田 さよ子(のぶた さよこ)

    お茶の水女子大学大学院修士課程修了後、精神科病院勤務等を経て1995年原宿カウンセリングセンターを設立。臨床心理士としてアディクションや引きこもりの本人・家族、DVや虐待、ハラスメントの加害者・被害者など、広く家族問題のカウンセリングを実施している。著書に『アディクションアプローチ』『DVと虐待』(以上、医学書院)『依存症』(文春新書)『依存症臨床論』(青土社)『アディクション臨床入門』(金剛出版)『母が重くてたまらない・墓守娘の嘆き』(春秋社)など多数。最新刊は『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版、2018)

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  • 雨宮 処凛(あまみや かりん)

    1975年北海道生まれ。作家、活動家。バンギャ、フリーターを経て00年、『生き地獄天国』にてデビュー。以来、生きづらさの問題をテーマにしつつ、06年からは貧困・格差問題にも取り組む。著書に『一億総貧困時代』『「女子」という呪い』、上野千鶴子氏との対談『世代の痛み 団塊ジュニアから団塊への質問状』など多数。反貧困ネットワーク世話人。

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  • 仕事と子育ての両立を選択した女性たちのサバイバル Survival of women who chose to balance work and child-rearing

    2022/06/30

    • リサーチ

    著者名:太田恭子

    コメンテーター:亀田 温子(かめだ あつこ)

    論文概要:

    近年、出産後の女性の就業継続率が上昇し、M字の底も徐々に上がってきた。しかし、未だに女性が主たる担当者として子育てを担っている状況が続いている。高学歴女性に焦点を当てた先行研究の中には、高学歴女性が「子育てを手放さないことが、性別役割分業構造を強化している」という批判もある。高学歴女性は、学歴の地位表示機能による「よい子育て」への規範的圧力や、仕事での自己実現というプレッシャーによって、出産後も仕事と子育ての両立を試みるが、その結果男なみ発想で家事も育児もこなそうとするか、職場の子育て支援制度を利用しマミートラックで両立を図るかのどちらかになっており、そのいずれもが、むしろ性別分業構造を強化しているというのである。
    そこで、本稿では、「高学歴女性が『子育てを手放さない』ことが、性別役割分業構造を強化してしまうのか」という問題関心のもと、以下の二つの問いを立てた。①女性たちが「子育てを手放さない」のは、規範的圧力やプレッシャーによるのか、自らの選択なのか。②女性たちが子育てを手放さないと性別役割分業は維持されるのか。その上で、江原由美子のジェンダー秩序論、ギデンズの自己アイデンティティ論に依拠し、仕事と子育てを両立している6人の高学歴女性にインタビュー調査を行った。その結果、女性たちは自らの選択として子育てを手放さずに就業を継続し、自らの「したい子育て」をするために、夫や祖父母、職場を交えた子育てのサポート体制を作りあげ、そうした彼女たちの行為が職場を変え、夫の意識を変えていったと語っており、女性が子育てを手放さなくても、ジェンダー秩序の変容の可能性があることを見出すことができた。

    Survival of women who chose to balance work and child-rearing

    Abstract

    In recent years, the rate of women continuing to work after childbirth has increased, and the bottom of the M-shaped scale has gradually risen. However, women still remain in charge of child rearing as their primary responsibilities. Some of the previous studies focusing on highly educated women have criticized that the fact that highly educated women "do not give up child rearing reinforces the gender role division of labor structure. Due to the normative pressure for "good parenting" caused by the status indicator function of their academic background and the pressure for self-realization at work, highly educated women try to balance work and child rearing even after childbirth, but as a result, they either try to do both housework and childcare with a manly mindset or use the childcare support system at work to balance the two in a Mommy-Truck way. In either case, the gender division of labor is strengthened.
    Therefore, this paper asks the following two questions from the perspective of "whether the fact that highly educated women "do not give up child rearing" reinforces the gender role division of labor structure. (1) Are women's "refusal to give up child rearing" due to normative pressure or their own choice? (2) If women do not give up child rearing, will the division of labor be maintained? Based on Yumiko Ehara's theory of gender order and Giddens' theory of self-identity, we interviewed six highly educated women who are balancing work and child rearing. As a result, the women said that they created a support system for child rearing with their husbands, grandparents, and workplaces in order to continue working without giving up child rearing as their own choice and to do "the kind of child rearing" they wanted to do. We were able to find that there is a possibility of transformation of the gender order even if women do not give up child rearing.

    Translated with www.DeepL.com/Translator (free version)

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  • 東大インカレサークルで何が起こっているのか ―「東大女子お断り」が守る格差構造- What Matters with the Intercollegiate Circles at the University of Tokyo?: The Reproduction of Gender Structure by the "No Women from the Tokyo University Allowed" Rule

    2022/02/09

    • リサーチ

    著者名:藤田優

    コメンテーター:江原由美子(えはら ゆみこ)

    論文概要:

    東京大学において、「東大女子お断り」のサークルが問題となっている。これは東大女子の加入を禁じ、東大の男子と他大学の女子のみで構成される東大のインターカレッジサークル(以下インカレサークル)のことで、主にテニスやバドミントン、バスケットボールなどのスポーツサークルで多く見られる。
     本稿では、 “なぜ東大女子は排除されなければいけないのか” という疑問を出発点とし、「東大女子お断り」を掲げるインカレサークルへのフィールドワークを通じて、インカレサークルの内部で何が起こっているのか明らかにした。調査方法としては、東大インカレサークルまたは学内サークルに所属する男女へのインタビューに加え、その中の1つのインカレテニスサークルに対する参与観察も行った。その中で、東大インカレサークルには男子優位のジェンダー秩序が存在し、「東大女子お断り」という閉鎖構造がそれを維持する二重の差別構造となっていると分かった。
     東大インカレサークルにおける二重のジェンダー差別構造は、ジェンダー意識の低さに伴う罪悪感の無さ、偏差値ヒエラルキーに基づく男子の傲慢さと他大女子の低姿勢、インカレサークルに対する東大女子の嫌悪感など様々な要素が絡み合って成立していると推察される。東京大学という、国内で大きな影響力を持つ大学のサークル活動において男子優位の非対称なジェンダー秩序が再生産されていることは非常に大きな問題であると言えよう。
     また追記として、本稿が執筆された2016年以降、「東大女子お断り」を掲げるサークルに対する大学側の処置により、「東大女子お断り」を堂々と掲げるサークルはなくなった。しかし裏で差別が続いている可能性もあり、更なる分析が求められるだろう。

    This paper problematizes the intercollegiate circles at the University of Tokyo (abbreviation, Todai), supposedly a Japan's top university, which prohibits women of the same school from joining them. They consist of exclusively Tokyo University boys and girls from other universities (mainly women's universities), mostly among sports circles such as tennis, badminton and basketball.
     Starting from the question, "Why should women from the University of Tokyo be excluded?", this paper examines what is happening inside intercollegiate circles through fieldwork at intercollegiate circles with "No Todai women allowed "rules. In addition to interviewing with male and female members of the University of Tokyo intercollegiate circles and other on-campus circles, I conducted participant observation at one of the intercollegiate tennis circles. What I found is that those intercollegiate circles have a male-dominated gender order, and that the closed structure of "no Todai women allowed" circles has a double discriminatory structure that maintains this order. This asymmetrical gender order with male dominance has been reproduced in the circle activities of the University of Tokyo, a university with great influence in Japan, which is a very serious problem.
    As a postscript, since this article was written in 2016, there are no more circles that openly apply "no Todai women allowed" rules due to the university's measures against gender discrimination. However, it is likely that discrimination continues behind the scenes, and further analysis will be required.

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  • フェミニストへの「くそリプ」パターン研究 ―コロナ禍における岡村隆史発言への抗議署名活動に賛同した 上野千鶴子によるツイートに対する「くそリプ」事例を手掛かりとして

    2021/05/02

    • リサーチ

    著者名:小林明日香

    コメンテーター:林 香里(はやし かおり)

    論文概要:

    本稿では2020年コロナ禍における岡村隆史発言への抗議署名活動を手掛かりに、フェミニストへの「くそリプ」パターンを明らかにする。本稿で「くそリプ」のパターンを研究する理由は、「くそリプ」の嫌がらせからフェミニストが身を守るのに役立つと考えるからである。上野千鶴子によるツイートへの「くそリプ」をうえの式質的分析法で分析した結果、フェミニストへのくそリプは、1. 悪態、2. 古証文暴き(昔の発言と今の発言の内容が違うと追及)、3. リンチするな、4. 風俗肯定、5. ~には~しないのかよ、6. 女だってやってるくせに、7. 的外れ、8. 意味不明、の8類型であった。フェミニストに「くそリプ」を発信しているアカウントはアンチフェミニストばかりでなく、人物像が推測できない、難癖と文句が多い、政治話題好き、などであることを発見できた。また反応が早いのは「リンチだ」「性風俗産業はサービス業」といった「身体を想起させるくそリプ」で、比較的に反応までに時間がかかるのは「多少の理屈が必要なくそリプ」という傾向が見られた。うえの式質的分析法のマトリックス分析により、「愛国」アカウントの「くそリプ」は提起している問題をすり替える「~には~しないのかよ」コードの割合が高く、「漫画・アニメ」「エロ・セクハラ的なイラスト」アカウントは、過去の上野の発言「母親の不倫OK」「不倫OK」に関係づけて「くそリプ」する傾向が高いことが確認された。「くそリプ」は社会生活に悪影響を及ぼしており、フェミニストはくそリプの「コード8類型」と「アカウントの傾向」を知っておくことで「くそリプ」に傷つく回数が減ると考える。本稿の成果を念頭におき、フェミニストたちは今後効果的な活動が期待できる。



    The Study of Patterns of “Bullshit” Replies on Twitter
    :A clue of “bullshit” replies on the Internet found against Chizuko Ueno who agreed with the signatures which protested against Takashi Okamura’s remarks during the COVID-19 period.

    This paper analyses the condescending replies (bullshit replies) on Twitter to Ueno Chizuko, who is one of the most famous feminists and sociologists in Japan. The aim of analysis of this paper is that knowing patterns of bullshit replies and contexts might protect feminists’ dignity from oppression and harassment on social media, then feminists would rise to more effective actions. Eight patterns of online bullshit replies to feminists on Twitter are inductively analyzed, and some tendencies which case intends to reply to the exact condescending comment’s code on Twitter, are found by using the Ueno method.  Eight patterns of online bullshit replies are as follows:
    1 Abusive attacks
    2 Criticizing inconsistencies
    3 Net lynching by feminists
    4 Justification of sex work
    5 Reorienting another enemy
    6 "You Too” blame
    7 Pointless reply
    8 Meaningless reply

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  • パート労働が私にもたらしたもの・失ったもの - 自分史的アプローチ -

    2020/11/25

    • リサーチ

    著者名:藤田眞理

    コメンテーター:伊藤比呂美(いとう ひろみ)

    論文概要:

    本論は「自分史的アプローチ」の形をとって、再就職以降心を捉えて離さなかったパート労働に対する疑問と違和感に応える当事者研究である。これまで幾度となく語られてきたパート労働がもつ不利な労働条件や不当な差別以外の別の意味や役割について考察し、主にアイデンティティの面からパート労働を当事者の言葉で紡ぎ、自身の経験を再定義する試みである。それはパート労働を「労働」として意識的にポジティブに解釈することであり、パートを含む非正規をエンパワーすることになるという信念からのものでもある。
     パート労働の場では学び取ったフェミニズムとジェンダー論の言葉と知から自分の位置を考察し、仕事場の権力配置をも洞察する。パート労働を個人的に解釈することだけでなく、賃金以外の「労働」がもたらすものまでを考察している。
     結果、パート「労働」はアイデンティティにつながる気づきを与え、自分自身を変え、夫婦関係を変え、専業主婦であることよりはるかに居心地のいい、サバイバルのスキルであったことを導き、思いがけずフェミニズムが人生を肯定させる思想でもあったという新たな認識をもたらした。

    This essay aims at a personal history to approach the problems and difficulties of an experience as a part-time worker which have caught me since reentering the job market. Though scholars have argued much about disadvantages and discrimination against part-time workers, I explored to find alternative significance and roles of being a part-time worker, in my own words in terms of Identity. Thus I tried to redefine my experience positively as a worker: it is an effort to interpret part-time work as a "work" so as to empower women working on the irregular basis including myself.
    What I leaned from gender studies and feminism helped me to understand power relations in the work place where part-time workers are placed at the bottom. However part-time work has brought me not only wages but also another reward unmeasurable with money.
    In conclusion part-time work has changed myself and my relationship with the husband, and given me a skill for survival better than being a housewife, with a positive identity. Feminism was an unexpected gift for me to approve my life.

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