エッセイ

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性暴力救援センター・大阪 オープニング・セレモニーを開きました   山根享子

2010.05.01 Sat

 ウィメンズセンター大阪が事務局としてかかわっている「性暴力救援センター・大阪」(略称SACHICO)が4月1日、活動をスタートしました。

 活動に先立つ3月28(日)、性暴力救援センターの開設場所を提供してくれた阪南中央病院内の講義室を会場に、「オープニング・セレモニー」が行なわれました。

 当日は、寄付をお寄せいただいた方々や救援センターのネットワークに加わっていただいている団体・個人のみなさん、アドボケーター養成講座受講生、そして開設にむけて1年近く準備をすすめてきた準備室メンバーなど100人近い参加者があり、講演やメッセージに耳を傾けました。 セレモニーでは、準備室室長の加藤治子さんから、「性暴力救援センター設立までの経緯」について、産婦人科医師としての活動から長い間感じてきた性暴力救援センターの必要性、性暴力被害者支援のきっかけとなる「アミーケ基金」のこと、準備室設立の経過、そして経営が困難な中にもかかわらず、開設の場所を提供してくれることとなった病院関係者とのやりとりなど、「粉骨砕身」の今日までの歩みをご自身の骨折体験とからめてお話があり、会場の雰囲気が一気に和らぎました。

 次に、準備室メンバーで弁護士の段林和江さんから、「性暴力救援センターを開設するということ」について、これまで、ご自身が「性暴力を許さない女の会」や「強姦救援センター」などの活動に関わってこられた中で学んできたことや、心に残っている被害者支援についてお話をされました。また韓国のワンストップセンターを訪問したときのことにも触れ、国家主導型とは違う民間のグループで行なう、被害者の要望を最優先する救援センターの存在意義を強く語られました。

 講演の最後は、ご自身の性暴力被害体験を公表し、全国に存在する被害者とつながり、精神的な支えともいえる存在となっている「性暴力をなくそうネットワーク」の小林美佳さんのお話を聞きました。

小林美佳さんのお話
 小林さんは真っ先にご自身が被害にあった直後のことを語りながら、「あのとき、こんなところがあったら」と、今日のオープニング・セレモニーに参加できた喜びを言葉にしてくださいました。

 『性犯罪被害にあうということ』(朝日新聞出版)という本の出版以後に、連絡のあった被害体験者は2500人以上にものぼっていること、おそらくそのうち2000人は、誰に打ち明けていいのか、相談するところがどこにあるのかもわからずにいること。そんな中で「性暴力救援センター・大阪」が立ち上がることの大切さを話されました。

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 また、ご自身が被害直後にかかった医療施設の対応や、警察の対応、そしてそのときの心の状態などをお話しになりながら、「性暴力救援センター」が被害者の大きな期待を背負っているということを話されました。

 「〝何かできる〟と構えずに、でも投げずに、うろたえずに、ただまっすぐに(被害者と)向き合ってください。それまでつながれなかった誰かとつながって話ができたら、それが被害者の人を信じる力に影響を及ぼすと思うから」という小林さんの言葉は、参加者、とりわけアドボケーター(支援者)養成講座の受講生の心に残ったことでしょう。

 この日は東京から、NPO法人女性の安全と健康のための支援教育センター副代表理事で、まつしま病院院長の佐々木静子さんと理事の麻鳥澄江さん、NPO法人大阪被害者支援アドボカシーセンター、大阪産婦人科医会、DV防止情報センター、女性サポート・おおさか、女性ライフサイクル研究所など(順不同)、多くの方が来賓としてかけつけてくださり、みなさまから力強く心温まるメッセージをいただきました。

 セレモニーの前後には性暴力救援センターの施設見学も組み込まれ、スタッフがその機能などを説明。病院の中とは思えない、やすらぎを感じさせる空間や工夫に、見学者のみなさんも感じ入った様子でした。

 性暴力救援センター・大阪は、松原市南新町3-3-28 阪南中央病院内にあります。4月1日から24時間体制のホットラインをスタートしました。電話番号は、072-330-0799です。

 電話番号を明記した広報用のカードも作成しています。学校や女性センターなど配布にご協力いただける方は、次のウィメンズセンター大阪までご連絡ください。
大阪市阿倍野区旭町2-1-1-123 電話:06-6632-7011
 http://homepage3.nifty.com/wco/ E-mail: wco@wco-net.jp

 支援者は基本的にボランティアであり、公的な支援もまったくありません。支えとなる財源は寄付のみです。今後も息の長い支援をお願いします。

性暴力救援センター・大阪へのご寄付は、
  郵便振替口座  00900-7-163580
  加入者名    アミーケ基金協会
  1口 5000円以上でお願いします。
  また、お名前の公表について、公表可・不可を明記してください。

(「女のためのクリニックニュース」300号、2010年4月15日発行より、一部編集のうえ転載。)








カテゴリー:ちょっとしたニュース

タグ:DV・性暴力・ハラスメント / 山根享子