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「結婚する」と決めたあと@1人家族vol.10 久津輪
2010.12.10 Fri
恋人ができて変わったことといえば、ささやかだけど今までにはなかった規律が生まれたことだと思う。
私たちは遠いところに住んでいる。
2人ともフルタイムで働いていて、異なる一週間のサイクルを送っている。頼みの綱は祝日と休日が偶然一致することであったり、どちらかが有給を駆使することだ。
一日のサイクルも違うというすれ違い生活の中で、一体どのようにして相手のことを知っていけばよいのだろう。相手に好意は抱いているけど、付き合うかどうか判断しかねていた理由はここにあった。
私たちは毎晩電話をすることになり、語られる内容よりもそのタイミングであったり、生活や自身の気持ちの中での「電話」の位置付けが確認されたことで、次第に付き合う気持ちが固まっていった。私たちは遠くに住んでいたからこそ、恋人になれたのだと、つくづく思う。
まだ、プロポーズはない。なので正式に婚約したわけではない。(わざわざ「正式に」と形容詞をつけちゃうあたりに、行為遂行的発言だかなんだかそう遠くは無いはずの過去に見聞きした言葉が頭をかすめるけれど、だからといってそこから何らかの考察をひねり出せるほど聡明な思考を私は持ち合わせていない。ただ、本当に毎度それが頭をよぎるのだ)
私たちは付き合い始めたばかりの恋人にすぎない。
だけど、電話を起点に生活の規律が生まれ、電話だけでなく生活の規律をゆるやかに共有することになったことで、まるで結婚後の予行演習をしているような日々を送っている。
* * *
私の言動が先走っていて心配に思われるかもしれないが、これでも「もしこの話がなくなったら」という事も考えている。その場合、そんな事態になるだけの事情や理由があるということだから、きっと大丈夫。受け止められる。受け止める覚悟は決めた。
私は今ある状況が楽しく、また嬉しく人並みに浮かれている。もちろん不安も感じている。
とはいえ、こうして見通しの立たない<変化>を楽しみにできるくらいに自信を持てたことや、ままならないことが日常に溢れ、今後また予想もつかない困難にぶつかる時が絶対くるだろうということを充分に思い知らされ、だからこその覚悟を決められるほどの経験をしてこれたこと、私をとりまく日常にひとまず感謝の日々である。