エッセイ

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哀しい予感@1人家族vol.10 久津輪

2011.01.10 Mon

はっきり言ってウハウハである。恋人との関係はすこぶる順調で、胸の高鳴りと心の安らぎと励ましとその他言葉につくせぬ温かなものを与えられ、私はまた特別それと意識しているわけではないが同じようなものを相手に与えることができているらしく、端的にいって「らぶらぶ」なのであるから。

とはいえ、だ。

哀しい予感はいつ何時も私の側を離れてはくれない。「不安」ではない。それは無防備に心を通わせていくことへのちょっとした危機感であり、選ばなかったものたちへの断ち切れない思いである。

「まるごと」そのままの私を愛してくれると(正直、なんでそんなに私の事が好きなんだか不可解だけど)、なんともいえず元気がでるもんで、全くありがたい話なのだが一度味わってしまったが最後、それ無しで生きていけない人間になってしまったらどうしよう。この蜜月は果たして永久保証付きなのだろうか。そもそも勘違いなんて事はないだろうか。いつか、失われるときがくるかもしれない。夢から覚めるときがくるかもしれない。
哀しい予感は尽きない。

私は知っている。「やっぱり」研究畑が好きだということ。都会暮らしが好きだということ。関西が好きだということ。。。これらを選ばなかった理由は確かにあって、天秤にかけて選ばない結論を自分で決めた。選ばなかったけれども、私は一生これらを愛していくのだと思う。ときどき再会しては、愛しくて胸が詰まるだろう。それは哀しみに似ていて、まだ離れ離れになってすらいないのに、哀しい予感で満ち溢れている。

哀しい予感があるから私は、心して恋人を失わない為に努力するだろうし全力で愛していくだろう。
哀しい予感があるから私は、今ある好きなものたちを思う存分満喫し、しかるべきお別れの儀式をして次へ進んでいくのだろう。

より深い信頼とまだ見ぬ好きなものを得られることを心から願って。

真夜中、梅干をかじりながら書いたこの文章を1年後の私はどのように感じるだろうか。

カテゴリー:@1人家族

タグ:家族 / 久津輪

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