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乙女達の世界と「アンネ・フランク」『乙女の密告』赤染晶子

2010.08.29 Sun

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 「乙女達」のゼミは「すみれ組」と「黒ばら組」の二つのグループに分かれている。バッハマン教授の「あなたはいちご大福とウィスキーではどちらが好きですか」の問いに、「いちご大福」と答えると「すみれ組」に、「ウィスキー」は「黒ばら組」に振り分けられるのである。京都の外国語大学でドイツ語を専攻する乙女達は、アンゲリカと名付けた西洋人形を片時も離さない、日本の真っ赤な情熱を表す(?)「吐血」という日本語を愛する奇妙なバッハマン教授のもとで、スピーチコンテストに向けて『アンネの日記』の一部を暗唱しているが…。第143回芥川賞受賞作品。 
汚らわしいものを嫌悪する乙女達を、乙女たらしめているのは噂を囁き合い、それを信じること。「アンネ・フランク」を美しいメタファーとして使う乙女達、そして彼女たちの語る真実のイミテーションとしてのメタファーは本物に負けないくらいに煌めくのだという。一方バッハマン教授はアンネ・フランクをロマンティックに語ることを許さない。乙女達のひとりと自認する、アンネ・フランクをこよなく愛するみか子は乙女にとっての禁断の果実である真実に手を伸ばそうとするが…。アンネ・フランクを密告したのはだれか。京都の町がしだいにアンネ・フランクの世界に見えてくる。 (lita)








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