
世界各地で語りつがれてきた女の子が主役の昔話
本書は、世界各地につたわる女性が主人公の昔話を集めた読み物です。大学で民俗学を学び、各地で昔話を聞きとったり語ったりしてこられた作家の中脇初枝さんが、読みやすく、語りやすく再話しています。
幼い頃から昔話が好きだったという中脇さんは、昔話を楽しみながらも、「自分と同じような女の子や女のひと、おばあさんが活躍する昔話が少ないことをふしぎに思っていた」といいます。
しかし、研究を深めていく中で、「本として刊行される昔話に男の子や男性が主人公のものが多かっただけで、女の子が主人公のお話も、各地では語りつがれていた」ということがわかっていきました。
そうした観点から、2012年には、日本各地の女性が主人公の昔話をおさめた『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』を刊行しました。
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784035127109
そして11年の歳月を掛けて、本書『世界の女の子の昔話』が刊行されました。
チリ、スペイン、エクアドル、ドイツ、ハワイ、ハイチ、タイ、カメルーン、韓国、ロシア、ラオス、中国、フランス、マダガスカル、イランから18話を収録。
国が離れているのに似ているお話があったり、勧善懲悪のお話でなく、なまけ者がなまけ者のままうまくいくお話や、主人公がずるいことをするお話があったり。本作を読むと、昔話が実に多様であること、お話の中で女の子がいろんな形で活躍していることが伝わってきます。
本作のあとがきで、中脇さんはこう語ります。
<どんな境遇にあっても、たくましく、時にしたたかに、自分で道を切りひらいていく、昔話の女性たち。語りつがれる彼女たちの物語は、現代の女性に、そして男性にも、勇気を与えてくれます。>
ぜひ、読んでいただければ幸いです。
2022年には、同じテーマで昔話の絵本シリーズを刊行していますので、あわせてご覧ください!
中脇初枝 再話「女の子の昔話えほん」シリーズ
https://wan.or.jp/article/show/9968#gsc.tab=0
◆書誌データ
書名 :世界の女の子の昔話
著者等:中脇初枝・再話 うえのあお・絵
頁数 :214頁
刊行日:2023/3/9
出版社:偕成社
定価 :1540円(税込)
慰安婦
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