歌人と文筆家が火の玉を投げ合う交換日記

みなさん、火の玉を投げ合う交換日記、読んだことありますか?
「もし私が男だったら、こんなに認めてくれないんじゃない?」
「私にとって上坂さんがウイルスだ」
歌人・上坂あゆ美と文筆家・ひらりさの間で交わされる日記は、冒頭から不穏な緊張感とともにはじまります。

失恋の痛手を負ったひらりささんに「短歌を詠むしかない」と励ましたことのある上坂さん。
実は、ひらりささんの言動にかねてから違和感があったと告白。
ジェンダーの悩み、労働や恋愛への考え、お金の使い方……
つぎつぎくり出されるパンチの応酬、傷だらけの議論。
えっ、この人たち、「友達」じゃないの?

一つ一つの〈違い〉が浮かびあがるごとに、むきだしになる互いの価値観が問いとなり、読み手の心に刺さります。
「自分を取り巻くものなんて、いつでも捨てられる」
「そのキャラブレと主体性の無さに腹が立っていた」
非・共感の関係だからこそ、丹念なことばで露わになる二人の〈怪物性〉は、誰しも身に覚えのある〈見たくない自分〉の映し鏡のよう。

亀裂をいとわず議論される人生の難問と短歌の応酬のあと、二人が出会った〈未知なる自分〉とは。
ハラハラしながら読めるのに、最後は他者や自分への愛おしさで心が満ちる、前代未聞の交換日記です。

◆目次
友達と他人
労働と人間性
理想と現実
怪物とAI
金と無駄
恋と欲
生と死
魂と容姿
好きと嫌い


◆書誌情報
書名 :『友達じゃないかもしれない』
著者 :上坂あゆ美、ひらりさ
頁数 :256頁
刊行日:2025/5/9
出版社:中央公論新社
定価 :2090円(10%税込)

友達じゃないかもしれない (単行本)

著者:上坂 あゆ美

中央公論新社( 2025/05/09 )