
人類の進化の道のりを女性の視点から
『フェミナ・サピエンス全史 人類の進化と女性の祖先』は、女性の化石に焦点をあて、人類の進化の壮大な道のりを、文章とイラストでたどるユニークな図鑑です。
手にとると、まず表紙のカラフルなイラストに目をうばわれます。ところせましと描きこまれた動植物や考古学的遺物のあいだで、ひときわ目立つのは、石器を手にして堂々と歩くひとりの祖先。あ、女性です。その姿がどこか新鮮に映るとしたら、それはこれまで私たちが目にしてきた先史時代のイメージの多くが男性を描いていたからかもしれません。本書は、これまでのそんなあり方を考え直すきっかけを与えてくれる一冊です。
ところで、タイトルの「フェミナ・サピエンス」って?と思われる方も多いことでしょう。ホモ・サピエンスの女性たちに光をあてるため、著者たちは「フェミナ・サピエンス」という、思わず笑みのこぼれそうな造語を考案し、タイトルに据えました。
本書に登場するのは、私たちの祖先のうちで骨格のそろったもっとも古い化石とされるアルディや、アファール猿人のルーシーをはじめ、かつて存在したさまざまな種の人類の女性たちです。40万年ほど前、障がいをかかえながら10歳まで生きた少女ベンハミーナや、DNAの分析が進むことでネアンデルタール人とデニソワ人との混血が明らかになった少女デニーもいます。人類学者であり、博物館のコミュニケーターもつとめる著者は、こうした祖先たちの姿を、最新の研究成果とともにわかりやすく紹介していきます。その語り口と響き合うのが、「科学と芸術の融合」をめざすイラストレーターによる魅力的な絵。二人の共同作業が、本書をあらゆる世代の読者に開かれたものにしていると感じます。翻訳にあたっては、学術的な正確さを第一に心がけながらも、著者たちの情熱が少しでも伝わることを願いながら言葉を選びました。
印象に残っているのは、アフリカの火山の麓に残された、370万年前の猿人たちの足跡です。そして、この足跡の発見者が、最終章「道を切りひらいた女性たち」で紹介される女性研究者のひとりであると知ったとき、気の遠くなるような人類の歩みとひとりの女性の人生が、探究の現場で交わるさまに、不思議な感動を覚えました。この本を手にとる方々にも、さまざまな気づきと楽しみがもたらされることを願っています。
書名 :フェミナ・サピエンス全史 人類の進化と女性の祖先
著者 :ユストス/文 ロブレド/絵 篠田謙一/監修 網野真木子/訳
頁数 :41頁
刊行日:2025/6/25
出版社:西村書店
定価 :2970円(税込)
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