
女性の外見は重要なのか
本書は、女性のキャリア形成と外見(化粧)との関連性を聞き取り調査から明らかにしたものである。
全体をⅠ、Ⅱという2部構成にしており、前半のⅠ部(第1章から第4章)は、公的なデータから女性管理職を取り巻く、現代社会の環境を理解することを目的とした構成である。後半のⅡ部(第5章から第8章)は、化粧に関する先行研究、女性管理職のキャリア形成と外見に関する意識、心がけについて、聞き取り調査した結果を紹介したものである。
蓄積された研究からも明らかだが、管理職へ昇進するには、管理職自身の能力だけでなく、昇進のチャンスに恵まれるかどうか、社内において、どのような女性管理職が求められているのか等、自身の能力以外のさまざまな文化的・社会的規範、要因によって影響される。
しかしながら、文化的・社会的規範は、規範であるため、共通した明確な基準があるわけではない。それは、時代、性別、地域、年齢等により異なる。私たちは、暗黙のうちに、人とコミュニケーションをはかる際、どのような文化的背景で話をしているのか、行動するのかを、毎回、相手方に確認することは、日常生活を送る上で、考えにくい。
女性の管理職が、昇進した背景には、様々な要因があるが、本書では、女性に課せられるジェンダー規範の1つである「化粧」をキーワードにして、管理職への昇進の影響、日常生活における化粧意識等を企業で働く女性管理職43名に聞き取り調査した結果を報告した。その際、調査対象者とした女性管理職は、女性労働者の雇用率が高い「製造業」、「卸売業,小売業」、「医療,福祉」で働くものを対象とした。
結果として、明らかになったことは、女性が管理職に昇進した際、外見、特に化粧行為の有無が、直接、関係するというよりも、間接的ではあるが、昇進に関連する様々な出来事(取引先との交渉、親睦会、社内プロジェクト要員への抜擢等)において、身だしなみとして外見を取り繕うものの方が、そのチャンスを得やすいと考えていたことであった。
今後の課題として、身だしなみとしての化粧だけでなく、服装、頭髪という他の要因についても同じ対象者に聞き取りすることで、複合的な視点をもって身だしなみについての考察が可能であることである。また、同様のことを同じ職場で働く男性管理職に聞き取りすることで、職場で働くジェンダー規範の相違がより明らかになると考える。
書名:『女性のキャリアとビューティケア~昇進と外見・身だしなみの関係性を考える~』
著者:乙部由子
頁数:280頁
刊行日:2022年11月1日
出版社:ミネルヴァ書房
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