アクション

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背高女(せいたかおんな)

2009.06.08 Mon

背高女は2000年1月にエンパワメント・センターを主催する森田ゆりの呼びかけで結成された。「自分の目線を変えるだけでも、世界の認識が変わる」―――スティルツ(竹馬状の装具)を自分たちで作り、2.5メートルの身長になり、華やかな衣装をまとって、優雅に非暴力タンポポ作戦の種を飛ばす。大きい女はいとわれてきました。物理的にも、社会的にも女がスペースを占有することは嫌がられてきました。主張する女、騒がしい女はいとわれてきました。女は隅の方で、場所を取らずに、存在感を誇示せずに、目立たぬよう男と子どもの世話をすることが美徳とされてきました。背高女たちは、いのちの賛歌とそのいのちを脅かすあらゆる暴力にNO!の声を届けるために、その華麗なる巨体で存在感を誇示し、美しく、騒がしく、日本のあちこちに進出鬼没しています。 (背高女 森田ゆり)

背高女プロジェクト連絡先:エンパワメント・センター
ファックス:0798-51-2903
Email: yuri9morita@yahoo.co.jp
http://www.geocities.jp/empowerment9center/

「世界」2001年1月号掲載の森田ゆりの文章より抜粋
「背高女プロジェクトへの招待:身長2.5メートルの女たち、女の子たちが20人、30人、100人と歩いてくる。彼女たちは華やかな衣 装をつけて、ドラムのリズムに乗って、溌剌とした表情とあふれんばかりのエネルギーで、さらにその巨体で人々を圧倒する。彼女たちは劇場で、路上で、デモ 行進で、どこででも歩く。地上2.5メートルの視点から、非暴力を訴え、いのちを讃歌する女たちを背高おんなと呼ぶ。

もともと、スティルツに乗って巨体の道化になるのはアフリカの伝統芸能だ。「背高女」も暴力への抗議行動、非暴力メッセージの発信をトリックスター(道化)として行なう役割を果たしている。
 
背高女の1人、大阪の中学教師が保健室でスティルツに乗る練習をしていたときに、入って来た不登校の生徒がスティルツに乗った教師を見ていきなり笑い出した。それ以来、その生徒は学校に来るようになったという。存在だけでもメッセージになっているのだ。
 背高女プロジェクトは抗議行動の方法である前に、する人、サポートする人、見る人の間のエンパワメントを目的としている。自分の内にあるパワーに気がつきそれを活用することがエンパワメントである。
 
背高女を初めて見た男性はこう言った。「まず圧倒された。すごい。なにしろでかいので驚く。その陽気なパーフォーマンスに感動した。何か自分の内から大きな力がわいて来るようなきがして、ひょっとして自分にも何かできるのかと思った」  

市民が社会の流れを作るという信念
 2000年の熱い夏、沖縄カテナ米軍基地で2万7千人の人間の鎖包囲行動に参加した23人の沖縄と関西の背高女たちと30人のサポーターたちは、ゲートの前で巨体を揺らし楽器を鳴らしシャボン玉を飛ばして歩き踊った。マイクロフォンからはこんなアピールを何度も送り続けた。

<わたしたち背高女は女性と子どもへの暴力防止のために働く者たちです。わたしたちは沖縄の人々の健康と医療と福祉の仕事に携わる女たちです。わたしたち は米国兵士による沖縄女性・子どもへの性的暴力に、もはやこれ以上我慢がならない女たちです。わたしたちは日本政府が日米安保条約、新ガイドライン、周辺 事態法などによって、沖縄の人々に犠牲を強い続けることに、もはやこれ以上我慢がならない女たちです。わたしたちは背高く歩きまわって、家庭内の暴力にも 戦争と軍備という国家レベルの暴力にもNO!の声を上げ続けています。 2.5メートルの高みからグローバルに世界を眺め、ローカルに行動する女たちです。
 
・ あなたも声をあげませんか。あなたなりの声を。あなたの声とわたしの声とつなげましょう。声をつなぎ、希望のネットワークをつなぎましょう。」
 きわめて単純明解なあたりまえの真理と事実をもう一度確認したい。軍備は破壊と殺人という暴力をおこなうためにあるのであって、平和と安全維持のために あるのではない。わたしたちは憲法9条の戦争放棄の理想を守り続け、 「戦争をしない国」として、世界の他の国にはできない独自でユニークな役割を果たす日本国でありたい。だから憲法9条2項の維持を主張する。米軍基地の 日本からの撤退を求める。
          
・ 世の中おかしいと思っていても声をあげない人がほとんどだ。でも市民が社会の流れを作るという信念を決して奪われたくはない。そのためには心ひらいて、 のびやかに人と向き合い、ハートを揺さぶる方法で思いを発信していきたい。時代が暗くなればなるほど、希望をあえて口に出して、行動にして人々と共有しあうことの大切さを痛感する。わたしとあなたとあなたの家族と友人とそのまた友人と、果てしなく続く希望の鎖にあなたもあなたなりのやり方で加わりませんか。>
           

カテゴリー:エンパワメント・センター