「腐女子」って、「腐った」女だなんて酷くない？!男の人はポルノ読んでてもそんなこと言われないのにっ！

最近、そんなことを言われて面食らいました。当方6･7年前から「腐女子」を自称しております。

昨今やおいやBLなんてものが学会（？）やテレビさんのお目に留まり、珍獣のように注目された結果、「腐女子」という言葉も、やおい/BLの存在とともに（というかいっそそれ以上に一人歩きして）多くの人の耳に入るようになってきたようです。その「腐」という字のインパクトから、初めて聞いた人にはわりとネガティブな印象を与えてしまうようで、「マンガ読んでるだけなのにあまりに酷い言われようだ」から「はあ、汚い格好しててモテない女のことなの？」まで、感想も色々とでてきますが、どれも私にしてみればびっくりというか意外というか……とにかく複雑な気分です。なにぶん、長いこと使ってきたので。 いまさらながら一応説明をしておきますと、「腐女子」ってのは、「やおい/BL＝男の子同士の恋愛モノを愛好する女性」のことを指します。諸説ありますが、「婦女子」をもじったもの、と言われています。人から罵られた名称というよりは、BL愛好家の女性が自ら名乗ったものでした。ただ最近になって、仲間内での合言葉、みたいなものだったものが、「外」の人から名指しされる言葉に変化しつつもある気がします。仕方がないのだけど、でもこれがすごく、気持ち悪い。今「腐女子」という言葉を聞くのは、研究論文の中でか、バッシングのために使われているか、そのどちらかの方が多いように感じるのです。
私がBLにはまり出したころは、ちょうどこの言葉がじわじわ浸透しつつあった時期で、私はこの言葉を喜んで受け入れました。もともとは「ちょっと他人とは違うおかしな趣味をもった私たち」という自虐的な笑いを含む言い方なのでしょうが、「ジェンダーの壁」の前に全身打撲状態だった当事の私はこれを「やさしくかわいく、男をたて、いずれ男の彼女になるべく存在するのが『女』なら、私は『腐った』女だ!!」とまあこのように解釈して使っていました。今考えるとちょっと……若いですね（笑）いや、いまもまだ小娘だけど。

そんなだから初めてニコニコ動画等インターネットの中で「腐女子死ね」とか「脳が腐ってるから腐女子」とかありすぎて書ききれないけど、とにかく「腐女子」が罵倒文句に使われているのを見たとき、あるいはテレビで適当な（若干悪意ある）説明をされているのを見たとき「腐女子という言葉が奪われている！」なんて風にまた憤ったものです（笑）最近は「やおい/BL好き」っていう要素さえはがれちゃって、気に入らない女＝腐女子＝死ね、みたいなバッシングもよく見ます。まあ、もう慣れちゃったけど。どちらにせよ、初めて聞く人が驚くほど、当人は悪い言葉とは思っていなかったのですが……でも、自分で腐女子って言葉を使うとき、なんだかちょっと卑屈な響きが含まれているのも確かです。

そもそもなぜBLを読む自分を「自嘲」しなくちゃならなかったのか。BLを読むとき、周囲からやたら問いただされます。「何故そんなものを読むのか」と。男の子が美少女コミックを読んでいたら、女の子が少女マンガを読んでいたら、誰も何もそんなことは言いません。しかし「BLを読む」ことには理由が必要とされるようで、とにかく「何故読むのか」「どうして好むのか」といわれます。むしろ「好きだから読んでいる、何故そんなことを聞くのか」といいたい。でもそんなことでは納得されません。そうなると、「仕方ないじゃん、腐女子なんだもん。おかしいんですよ、普通とはちがうんですよー」と言い訳しちゃった方が早い。そういうところからでてきた「自嘲的な言い方」なのかな……と思います。詳しいことは分かりません。あくまで「私の一説」ですが……。

長く使ってきたので捨てがたかったのですが、こう考えてみるとあまり「腐女子」に執着するメリットはないかもしれませんね。やっぱり「腐」っていう字はあんまりよくないや。シンプルに「BL愛好家」とでも名乗りましょうか。「腐女子死ね！」「腐は帰れ！」なら語呂がよくて使いやすいけど「BL愛好家死ね！」とか「BL読む女は帰れ！」とかじゃ間延びしますもんね（笑）

卑屈になって、内にこもってたって、進歩しません。シンポジウムもあることだし、この際、自分のこと「腐女子」ってゆーの、やめようと思います。

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シンポジウム「やおい/BL（研究）の今を熱く語る」

日　時：2010年9月11日（土）13:30-17:30（開場13:00）
会　場：大阪市立大学文化交流センターホール