エッセイ

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財産管理等委任契約書を作ろう!【大切なモノを守るには】

2013.09.03 Tue

2 財産管理等委任契約書で「自分」や「パートナー」の日常生活を守る【大切なモノを守るにはNo.2-3(12)】

このシリーズは、事実婚・非婚・おひとりさま・セクシャルマイノリティといった方々に対し、「法律婚夫婦+子」を基本概念として作られている現状の各種法制度の中から、活用できる制度がないかを提案していくものです。


■テーマ・その2:財産管理等委任契約書で「自分」や「パートナー」の日常生活を守る

第12回 財産管理等委任契約書を作ろう!

●「財産管理等委任契約書」とは?

まずは、これまでのおさらいです。「財産管理等委任契約書」とは、加齢で寝たきりや体が不自由になった場合・病気や怪我などで長期入院・長期療養になった場合などに備えて、財産管理や日常的な事務処理を信頼できる特定の人(血縁者、事実婚のパートナーや内縁のパートナー、同性のパートナー、友人・知人、士業者等)に代理して行ってもらうための契約書です。

●「財産管理等委任契約書」の作成ポイント

「財産管理等委任契約書」は、形式も自由ですので、当事者の要望に沿った内容で作成することができます。
以下は、「財産管理等委任契約書」を作成する上でのポイントとなります。

【条件】
「財産管理等委任契約書」は、任意の契約書ですので、財産管理を依頼する本人(委任者)に判断能力がある時点で作ることが必要となります。

【効力の発生時期】
「財産管理等委任契約書」に記載した内容がいつから発生するかは自由に定めることができます。元気なうちに作成しておいて、本人の体が不自由になり、本人が財産管理を第三者(受任者)に行ってもらうことが必要と判断したときから有効となるように設定することもできます。

【終了時期】 「委任」というものは、民法(653条)によって、「当事者(委任者および受任者)の死亡」、「当事者(委任者および受任者)の破産」、「受任者の後見開始」によって終了するとされています。

委任者が死亡した場合は、当然に「財産管理等委任契約」は終了することになりますが、委任者の死亡後も、特約として、死後の葬儀や納骨、財産整理などの処理といった内容を入れ、委任者の死亡後の事務手続きを委任しておくこともできます。

また、「財産管理等委任契約」は、委任者に判断能力があることが大前提ですので、「委任者の後見開始」によっても終了します。この場合、それ以降の委任者の財産管理等は、後見人によってなされることになります。

もちろん、契約の中に「解除」の条項を入れておき、当事者の都合等で契約の解除を行い、上記の理由以外でも契約を終了させることができるような内容にしておくこともできます。

【委任内容】
「財産管理等委任契約」での委任内容は、大きく財産管理と療養看護の2つに分かれます。

財産管理とは、受任者が委任者の財産を適切に管理することです。具体的には、金融機関からの預貯金の引き出し、家賃や光熱費、税金の支払い、保険の契約や解約、保険金の請求などとなります。

療養看護とは、医療や介護など、委任者の心身を保護するために必要な事務処理全般を指します。具体的には、入院・退院時の手続きや介護保険の要介護認定の申請、介護サービスの契約手続きや解除、支払いなどになります。

委任したいものをピックアップし、委任内容を決めていきます。日常的な預貯金の管理や支払い等の委任にとどめ、不動産の処分等の重大な事項は、その都度、個別に委任状を書くようにしたほうが安全です。

【記録及び報告】
受任者が不正を行わないよう、財産管理に関する会計帳簿や委任事務処理日誌をきちんと付け、適宜報告してもらう内容を入れておくほうがよいでしょう。

【任意財産管理監督人】
「財産管理等委任契約」では、受任者の監督は委任者が行なうことが原則となりますが、それが難しい場合や受任者の不正防止のために、任意財産管理監督人を設定しておくこともできます。

【報酬】
受任者(および任意財産管理監督人)に報酬を支払う場合は、支払額・支払い方法等を定めておきます。また、無報酬の場合は、無報酬である旨を記載しておくほうがよいでしょう。

【死後事務委任契約】 委任者の死亡後の事務処理(葬儀・埋葬に関する事務、生活用品を処分する事務など)を委任しておくことができます。

●誰が「財産管理等委任契約書」を作成するか

「財産管理等委任契約」は、当事者(委任者・受任者)がその内容を吟味し、承諾したうえで契約を結ぶものです。ですが、場合によっては、受任者が一方的に自分に都合の良いものを作成することもあり得ます。このため、できれば、当事者以外の専門家に作成を依頼をするほうが、受任者の不正を未然に防止し、委任者の意向に沿った契約書ができると考えられます。

公証役場にある「財産管理等委任契約書」の雛形を参考に当事者が作成した場合も、できれば当事者以外の専門家にチェックを依頼したほうがよいでしょう。

●財産管理等委任契約書の例

財産管理等委任契約の例

●あらぬ疑いからパートナーを守る

財産管理は、本人の子やきょうだいなど、血縁者が行う場合が多いのですが、血縁者が本人の財産を使い込んでしまうなど、トラブルが絶えません。例え財産管理を身内に頼む場合でも、きちんとした「財産管理等委任契約書」を作成しておくことが、不正防止策となります。

また、身内がきちんと財産を管理していても、他の血縁者から要らぬ疑いを掛けられる場合も少なくありません。そういったときのためにもきちんと「財産管理等委任契約書」を作成しておくことで、受任者をあらぬ疑いから守ることができます。

ましてや、血縁者ではない事実婚のパートナーや同性パートナーに財産管理を任せる場合は、自分の財産や日常生活を守るという目的以上に、あらぬ疑いからパートナーを守るためにも「財産管理等委任契約書」を作成しておくことが必要となります。

以上、3回に渡って「財産管理等委任契約書」についてご説明しました。

次回からは、判断能力がなくなった場合に、自分やパートナーを守るための「成年後見制度」について見ていくことにします。

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【文】
 金田行政書士事務所
 行政書士 金田 忍(かねだ しのぶ)
 http://www.gyosyo.info/
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カテゴリー:大切なモノを守るには

タグ:くらし・生活 / 相続 / 老後 / 認知症 / 財産管理等委任契約書