2009.12.31 Thu
※メッセージ、プロフィールは『続きを読む』をクリック!してください。■ステートメント(野寺夕子)
『報道写真とアートの間(あわい)』
『いろんな顔があり、いろいろなからだがあり、いろいろな生き方がある。どの人にも、とっくにわかっている。頭では、だ。
でも。
概念と実感のズレにアレレッ?とも思わないで、わかった気になっている私の目が、私は怖い。女、男、老人、子ども、夫婦、障碍者、妊婦ーーひとくくりに見て、論じ、時には持ち上げ、時には嘲笑する。何だか哀しい。
「臨月だから美しい」でもなく、「妊婦だって美しい」でもない。誇示もしないけれど媚びもしない、そんな顔やそんなからだがいとおしい。美しい、と思う。
ごはんの炊けるにおい。ビデオから響くアニメの歌。幼な子にウンチをさせ、宅配便を受け取り、陽光を求め玄関でも撮った。日常としての裸体は笑ったり、泣いたりする。あたり前を確認する旅…。』
ーーこれは、「臨月」で写真の賞を受けたときの「受賞のことば」、だ。
1996年に考えていたことと、2009年の今、考えていることにズレがない。というのは、少し、はずかしい。今は、こんなに堂々と物が言えないが、かわりにいい加減さという強さが育ったので、インタビューという名のおしゃべりがうまくなった気がする。
ドキュメント写真を撮るからには、“この一枚”の強さはほしいが、長く取り続けることで見つかる全体のひとまとまりの迫力、それを見せる時の静かな美しさもほしいな、と思う。
「微熱花暦」-びねつはなごよみーの展示は、実に面白かったよ。25種の花のカードを各50枚ずつ、計1250枚を配り、1年間で33ケ所、1つとして同じものがない展示をしたんだけれど、同じ写真とは思えないぐらい違うものができてきて。その全部を私が1人で「瓦版」33号にして、また配って。
3年間、毎週連載した138枚、その1枚ずつも、味のある写真だったんだ。138枚を撮り続けるところに私の“力”があったし、そこでおわっても、それなりの納得があるはずだった。
でも違った。印刷物として伝える写真の力と、展示する写真の力の両方とも私には大事、と思ってきたし、これからも思っていく。報道写真を撮っていきたいと動いてきた私は「アーティスト」ではないが、報道写真を「アート」として見せることは報道写真の存在感を損うものではない、と信じている。
■プロフィール
1959年、岐阜県生まれ。地元紙勤務を経て85年に京都・伏見へ。
以後、フリー。
フォト・ライターとして白黒のドキュメント写真で表現する一方、セピア調の写真詩を精力的に発表する。
第33回(1996年度)準太陽賞を「臨月」で受賞(平凡社主催、正賞は空席)。98年、京都府南丹市日吉町へ。120歳の家に住む。
■写真展
・「遺影、撮ります。ー76人のふだん着の死と生ー」
・「抱きしめてー京都・伏見・桃陵のこどもたち2006-」
・「千人針は語るーデザイナー森南海子、収集の旅よりー」
・「微熱花暦ー全国33箇所行脚 2004-2005-」
・「心うごかしてー京都・伏見・桃陵のこどもたち1993-」
・「臨月ー105人のドキュメント・ヌードー」
・「お・ん・な・の・貌」「生マレル」
・「ころぼっくるの手ーやまなみ工房の土と人ー」
・「カメオカ・ボランティアーズ」ほか
■著書
・野寺夕子(文・写真)『遺影、撮ります。-76人のふだん着の死と生』圓津喜屋、2007年
・野寺夕子『臨月』かもがわ出版、1995年
・野寺夕子(文・写真)『ころぼっくるの手ーやまなみ工房の土と人』たんぽぽの家、1998年
・野寺夕子編『女の顔に惚れるときー44人の女が撮る』法政出版、1997年
・野寺夕子『春の布団ー男も私もバカヤロウだ』(写真詩集)法政出版、1997年
・森南海子・(野寺夕子:全写真)『千人針は語る』海竜社、2005年
・沢田俊子(文)野寺夕子(写真)『命の重さはみな同じーみなしご犬たちの物語』学研、2006年
・沢田俊子(文)野寺夕子(写真)『七頭の盲導犬と歩んできた道ー日本初の女性盲導犬ユーザー戸井美智子物語』学研、2009年
・木田安彦・(野寺夕子:全写真)『木田安彦素描集「西国三十三所」』青幻舎、2009年
■
2005年9月から「プロジェクト遺影」(朝日新聞夕刊)全76回連載
写真詩の連載に「色情2001」「恋文2002」(大阪新聞)
「春の布団」(朝日新聞)「ここにいる」(機関誌)
「写真詩劇場NODERA」(月刊カメラマン連載)ほか、
コラム「女から吹く風」(読売新聞)「野寺夕子のとんでも料理」(朝日新聞」(朝日新聞)「子育てポスト」(写真、毎日新聞)など。
カテゴリー:ギャラリー / 野寺夕子(フォト・ライター)
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






