上野研究室

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新編 日本のフェミニズム6 セクシュアリティ    ~女を知る 解き放つとき~

2012.05.17 Thu

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.『フェミニズムとは、男性中心的な「セクシュアリティの近代」を超えて、セクシュアリティを「女性の経験」から自己定義しなおす試みである。「セクシュアリティの主体化」とみえたものが、男性を範型としたセクシュアリティの近代の装置の内面化にすぎず、その罠にますます深く囚われることであるなら、それを抜け出そうとするさまざまな実験にわたしたちは立ち会っている。したがって、セクシュアリティがアイデンティティを定義し、そのアイデンティティの確証を求めて「性に憑かれた時代」・・・わたしたちはその終焉に立ち会っているのかもしれない。その彼方に、親密さとセクシュアリティが分離し、セクシュアリティが人格の全部ではなく一部にすぎないような時代が遠望できるかもしれない。フェミニズムがその変化を促進する思想であることはたしかである。』(本文p.24)

フェミニズムは女性にとってタブーとされてきた自分の性経験を語ることを可能にした。さまざまな当事者の経験が『新編 日本のフェミニズム6 セクシュアリティ』のなかで語られている。フェミニズムは、「個人的なことは政治的である」と標語であり、ここでは、「自然」と「本能」との名におけるセクシュアリティを徹底的に政治化する試みが行われている。

性が分かちがたく人格と結びついた「セクシュアリティの近代」の装置を、男だけでなく女も共犯的に担ってきた。わたしたちの潜在意識に埋め込まれた装置に気づくことからはじまる。「セクシュアリティの近代」を超えていきたい。
堀 紀美子






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タグ:セクシュアリティ / 上野千鶴子 / 堀 紀美子