2012.08.31 Fri
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-女であることの解きがたい謎と格闘し20代半ばに女性学との出合い、はじめて本気になって学問する気になれたと語る上野さん。職業Professionの社会学はカネのためにやるもの、女性学は天職vocationだから注文がなくても論文を書いてしまう。自分の中にそれを書かせる動機「怒り」があるから。
大学で学んだ学問は、「男の子、いかに生きるべきか」という問いと答えの集合。「関係ねーや」と思っていた。1980年代に女性学は大学の自主講座になり、やがて単位認定つきの正式な講座になっていった。日本の女性学は大学の外で育った。その後ジェンダー研究と名を変えて、大学のなかに市民権を得た。自分の知的な探究それ自体が自分に対する最大の報酬になる。他人の評価より、自分が面白いと思うことを究めること。自分が満足できればそれでいい、それ以上の何を学問に求めるのか。
上野さんの座右の銘は、「世の中に自分のやりたいことを指導してくれるような教師などいると思うな。もしいたとしたら、その研究はすでにやるねうちのないものと思え」だそうだ。
時代を先に生きる人が残してくれた道標に出合う。人が人に紡いでいく、ことばという思想を私たちは受け止めて、やっと一歩踏み出せるときがある。それは目に見えないけれど大切なこと。思いの世界で分かち合えることでつながっていく。
堀 紀美子
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