上野研究室

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当事者主権

2014.05.10 Sat

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『当事者主権』
中西正司・上野千鶴子著(2003年岩波新書)

障害者運動の先駆者・中西正司さんと女性運動の上野千鶴子さんの共著である。舵取りを誤ると致命的な事態が起きかねない女性運動のバックラッシュの時期に、2人が「必然の出会い」を果たした。運動を運動で終わらせないため、事業体との統一による当事者主権の徹底が、次世代を担う福祉制度の要となる。本来、福祉サービスとは、地域社会の人々が平等で、すべての障害者が教育、就労、社会参加の場で同等の生活を享受できる社会においては、存在する理由のないサービスである。

特殊な問題を抱えた特殊な対象者―障害者、女性、子ども、不登校者、患者など―に対するサービスではなく、誰でも必要なときに一般社会のサービスとしてつかえるときに、福祉サービスという特殊な種類のサービスが消え去る。

私たちは、性、年齢、障害、職業、民族、人種、国籍、階級、言語、文化、宗教等による差別のない社会を求めている。問題を生み出している社会に気づき、「自分のことは自分で決める」と声をあげた当事者たちが、新しい現実を、もうひとつの社会を構想する。当事者運動に従事している人たちの表情は明るく、自信と活力にあふれている。ニーズをもった当事者が連帯し、福祉の客体から主体へと変わる時代がきている。

■堀 紀美子■






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タグ:上野千鶴子 / 当事者研究 / 堀 紀美子

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