2009.11.04 Wed
天山山脈に広がる草原で、羊飼いの少年と著名な物理学者が運命的に出会い、宇宙の真理を語り合う。
たとえば、こんな問答。
少年「速いっていうことは、それほど意味があることじゃないんだ」
物理学者「どうして、速いっていうことは、意味がないの」
少年「ちがうよ、意味がないんじゃなくて、それほど意味があることじゃないって言ったんだよ」物理学者「だから、それはどうしてなのかな。たとえば、車なら、街まで早く行けるじゃないか。……そうしたら、そのあまった時間を他のことに使えるじゃないか」
少年「わかってないんだな、おじいさん」
……何がわかってないのかは、読んでからのお楽しみ。
読後感がいい。いろんなことを考えさせられるのに、とってもシンプル。羊飼いの少年に言わせれば、この宇宙のモノたちは「時間と、空間と、癖でできているんだ。」 何度でも読み直したくなるはず。
『羊の宇宙』は、たむらしげるのイラストとともにステキな絵本にしあがっている。夢枕獏の短編集『鳥葬の山』にも収められていて、そのほかの短編は不思議ホラー。どれも捨てがたいけど、存在と宇宙は似ていると語る「頭の中の湿った土」がオススメ。絵本と文庫本、どちらも手にとって欲しい。(mooty)
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