2009.11.13 Fri
両親から虐待され、強姦され、その隠蔽のために焼き殺されそうになった少女・テルーが、「台なしにされた」その後を生きていく時に、さらに乗り越えねばならない困難を描いた物語である。
一語一語に無駄がなく、その密度に、読みながら圧倒されてしまう。そしてこれが児童書として書かれねばならず、この本の傍らに、物語の意味を理解して涙する少女たちが今もどこかにいるであろうことを思えばなおさら、読後はしばらく、この本の世界から抜け出すことができないのだ。
テルー自身は、ほとんど何も語らない。そこがリアルだ。彼女の代わりに語るのは、やはり「台なしにされた」過去を持つ大人の女性・テナーである。この本を読むとじわじわ泣けてくるのは、読者がテルーを憐れむからではなくて、テルーのそばにテナーが寄り添っているからである。テナーの存在が、読者を絶望から救っている。
本の最初に掲げられた次の言葉は、物語のすべてに通底するテーマだと私は思った。
「ことばは沈黙に 光は闇に 生は死の中にこそあるものなれ 飛翔せるタカの 虚空にこそ輝ける如くに」
(yoko)
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