2009.11.28 Sat
ほんのちょっと前、わたしがまだちいさい女の子だった頃、本の中の魔法や冒険はみんな男の子のものでした。
キャーキャーいって助けてもらうのを待っているだけじゃない女の子、冒険においていかれない女の子をさがすのはほんとうに大変だったのです。本をよんでいるわたしは男の子たちの楽しそうな冒険をのぞくことができるのに、女の子は家で待ってろよ、の一言で、のけものにされてしまう……。あれほど楽しくて、残念な読書はありません。
だって、どうしたってウェンディになるより、ピーター・パンのほうが楽しそうじゃない! なんで女の子はピーター・パンになれないの?
『長くつしたのピッピ』は長い間そんな女の子たちの希望の星でした。
それから、ほんの何人かのピッピの仲間たち。『ナルニア国』 のルーシーや(スーザンは後になって残念なことになってしまったけど……)、『光車よ、まわれ!』の龍子、『ツバメ号とアマゾン号 』 のナンシー、ペギー、スーザンたちに出会うと、うれしくて胸がどきどきしたほどです。
きっとわたしと同じ、くやしいおもいをした人がいっぱいいたのでしょう。
今ではこんなにたくさんの、女の子が冒険の世界に旅立つようになりました。おにいちゃんにくっついてでも、男の子に守られてでもなく。
だけど、「男の子の」遊びが楽しみの全てだなんて思わないでね。ここで紹介されたのは、戦ったり、冒険したり以外のこと、男の子がさせてもらえなかった、服作りや家の中での空想も楽しいって教えてくれる本。
『ペレのあたらしいふく』 の後には、『Charlie Needs a Cloak』 も読んでみてはいかがでしょう。(残念ながら邦訳されていませんが、作者のトミー・デ・パオラは、『まほうつかいのノナばあさん』などで知られています。)ペレから30年後の羊飼いチャーリーは、ペレがさせてもらえなかった楽しい「女の子の仕事」も全部経験することができました。
野村羊子さん(12月1日からb-wanインタビュー掲載)がおっしゃるとおり、こんな楽しいこと、さいしょっから自分でやればよかったのにねえ。
*「ちいさかったわたしと、いまちいさいあなたへ」で紹介されている本
*関連商品・同じテーマの本*
『ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)』
『「ナルニア国ものがたり」全7冊セット 美装ケース入り (岩波少年文庫)』
『まゆとおに―やまんばのむすめ まゆのおはなし(こどものとも絵本)』
『霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)』
『床下の小人たち (岩波少年文庫)』
『精霊の守り人 (新潮文庫)』
『黄金の羅針盤〈上〉 ライラの冒険』
『黄金の羅針盤〈下〉 ライラの冒険 (新潮文庫)』
『リトル・カントリー (上) (創元推理文庫 (557-01))』
『リトル・カントリー (下) (創元推理文庫 (557-02))』
*関連のb-wan記事
わたしのイチオシ‐「マライアおばさん」
リレーエッセイ‐「囚われのお姫様はいつ生まれたか」
カテゴリー:ちいさかったわたしといまちいさいあなたへ贈る本棚