女の本屋

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自由が大事 『無境界家族』 森巣博

2010.03.11 Thu

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男の人の書いたものを読んでこれだけ笑い、またほろりときたのも久しぶりだ。著者は、ばくち打ちを職業とするかたわら、数多くの本を出し、日本社会に対して発言を続けている人だ。その著者が、本書では「家族のことを」という編集者の求めに応じて、大学者である妻や数学の天才である息子のことを前面に出しつつ、彼女たちとかかわるオーストラリアでの自分の生活を語った。「自慢話」と著者は言うが、これがすごく面白い。本書では、ばくちの話やナショナリズム論に関する叙述よりも、批判的な思考や自由な生活を享受しながら、じつは妻や子供に著者なりのスタイルでせっせと尽くす姿とその叙述が輝いて見える。著者が本書で二度ほど触れる、日本の幼稚園でのサイズが決められた手作りの(でなければならぬ)手提げ袋や可愛い飾り付けの(でなければならぬ)お弁当――この柔らかな強制こそ諸悪の根源と言ったら言い過ぎであろうか――を肯定するスタンスこそが、境界を作り上げ自らを不自由にするイデオロギーとしての家族や日本社会に通じている。思ったことをすぐに口にしてしまう無境界著者が、入院中に看護士さんとかわす会話も爆笑ものだ。(K)








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