2010.04.20 Tue
自分の親は、あの戦争で、いったい何を考え、何をしていたのか。これは、1960年代の学生運動が現代にまで残した問いといえよう。
本書は、そんな問いに答えたひとつの試みともいえる。著者の親世代窶披髏1920年代生まれの3人の女性に対して行った聞き取りがベースとなっている。戦争を賛美する時代に青春を過ごした彼女たちは、「私」を捨て、「君のため国のため」に追従することを徹底されていたにもかかわらず、いまや時流に流されることなく、社会の矛盾や不正をただす姿勢を体得している。その変化はいったい、いつ、何によってもたらされたのか。この「分岐点」を探ることが、本書を貫くテーマである。そして4人目の女性に、著者の母親が追加された。 読後には、これは著者とその母親との和解の書なのではないか、と感じた。母と娘には葛藤が生じることが多く、その和解は難しい。葛藤を乗り越えるためには、娘が「母物語」を自分のものとしないこと、そして母自身が自己のものとして「母物語」を生きることであるという。著者とその母は、この両方を聞き取りのなかで実践できたのではないだろうか。そんな気持ちにさせる書だ。
もちろん、「戦争を知らないわたしとあなたに」という副題にあるように、本書の当初の願いは、これからを担う若い世代の人たちに、日本で近現代史が教育されてこなかったことの意味を問うことだろう。「国は、わたしたちがほんとうに知らないといかんことを教えてないでしょ」窶披煤uだまされた」と語ったひとりの女性の言葉が、いまの著者を支えている。(mooty)
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