2010.04.24 Sat
ふだん文芸雑誌を読むことはほとんどないが、昨年末、新聞に掲載された雑誌の広告でこのタイトルを見つけるや惹きつけられ、すぐに読んでみたいと思った。すべての人に響くわけではないが、確実にこのタイトルに敏感に反応する人がいるはずだ(わたしみたいに)。 「私」はさいたまの実家と「私」がつき合っている紙川さんの住むたまプラーザを行ったり来たりしている。その間に彼女は大学を卒業し、アルバイトや契約社員として働きながら、小説家をめざしている。紙川さんとつき合いながらも「好きだ、という科白をひとりの異性にしか使っていけない社会通念」をばかにし、「どうして全員が二人組にならなくてはならないのか、なぜ三人組や五人組がいないのか」を不思議に思う「私」は、やがて「二人ぼっち」という言葉にしびれる紙川さんとの間に距離ができはじめる。
小説を書くことを社会的なこと、社会参加と考える「私」。山崎ナオコーラさん、わたしには(山崎さんの思っているとおりかは判らないけど)、あなたの言葉が届いています。(lita)