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閉ざされた心が拡がってゆく 『ニューヨーク・ニューヨーク』  羅川真里茂

2010.09.29 Wed

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この作品には、ゲイ差別、ゲイ自身の中にあるホモフォーグなどといった、きれいごとだけではない「現実」が描かれている。

中でも最も興味深いのが、主人公ケインの母親エイダが、息子とその恋人を受け入れようと努力するまでの過程である。ゲイやレズビアンがカミングアウトをするのは容易ではない。しかし、ヘテロの人間がそのカミングアウトを受け入れることも、恐らくはかなりの困難を伴う。本書では、息子の気持ちを受け入れたい気持ちと同性愛に対する嫌悪とで葛藤するエイダの姿が描かれている。
しかし、高校教師である夫の経験、友人の考え方などを聞いていくことで、最終的には、「考え方が違う人達 求める価値も存在も違う人間 私の閉ざされた心が拡がってゆく」という言葉とともに、母親は息子の恋人を受け入れる努力をすることを決心するのである。

本書は、「理解する」「受け入れる」という奇麗事を簡単には述べない。それでも、私たちは、違う価値観である人間を理解し受け入れる「努力をする」ことはできるのだ、ということを真摯に描き、教えてくれるものであった。(杏)








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