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かつての少女たちによる「私小説」―水村美苗『私小説from left to right』

2010.11.09 Tue

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渡米20年目を迎えた日、姉妹は何度も電話で会話を交わし、妹の美苗(私)は彼女たちの過去を振り返る。日本で帰国子女として通用するには長く異国に居すぎた “I may have stayed out too long to qualify as a kikoku-shijo” 彼女たちにとって、この孤独を理解できるのは自分たち以外にはいない。

ところでふたりの語る日本語と英語混じりの言葉(だからfrom left to right)とは、とても私的なものだ。それはふたりにしか通じない言葉、社会化されることを期待されなかった、異国に居場所のないかつての少女たちの言葉である。「私小説」という日本近代文学の小説ジャンルの特徴が、(男の)作者が自らの生活を語りながら、その間の心境を披瀝することだとするならば、女の「私」による日本語と英語のちゃんぽんの横書きの『私小説from left to right』は、これまでの文学のあり方に真っ向から挑戦している。(lita)








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