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マグナス・マクシマス、なんでもはかります

2011.07.10 Sun

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マグナス・マクシマス、なんでもはかります

訳者など:キャスリーン・T. ペリー ()

出版社:光村教育図書

 フランス革命の後、その近代化のいっそうの推進とヨーロッパでの権威を高めるために新政権が行ったことの一つが、地球を測ることでした。メートルという現在の世界標準単位は、このときの計測を元に決められています。  つまり、事物を正しく測る行為とは、それを支配したい欲望に他なりません。時計による生活時間の統一もまた、労働時間の支配に必要なものでした。  そうした計測による標準化は曖昧さを排除していきますから、それへの反動として、計測不可能な事物への愛着や称揚も始まっていきます。自然の賛美や、「愛」の絶対化などです。  この絵本は、そうした近代の動きを、測るの大スキおじさんマクシマスに託して描いています。どう猛なライオンがマクシマスに測られることでおとなしくなる。でもマクシマスは眼鏡を無くし、測れなくなったとき、自然との交流に目覚めるというわけです。  シンドラーのイラストもまた、遠近法が見えやすいような線を駆使し、測ることをの意味を明確に描き出し、同時に自然の風景を、近代絵画が発見したままに示します。

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