2012.05.05 Sat
WANサイトにミニコミ電子アーカイブの構築を!
DOCUMENT-WAN 趣意書
2012年5月
日本のフェミニズムは、草の根のミニコミを通して成長したといっても過言ではないと思います。北から南から発信される多岐にわたる個性に富んだニュースレターは、マスコミが伝えることのない生きいきとした情報をのせ、細いけれど確かなネットワークで女性たちをつないできました。順風もたまには吹きましたが、おおむね逆風にさらされながら、同じ困難にぶつかっている多くの人と思いや怒りを共にし、戦略戦術を学び、励ましあってきました。
第2波フェミニズムが日本に誕生して40年余、この間、多くの苦労とそれに匹敵する喜びを刻んできたミニコミですが、その中からも終刊、休刊が相次ぐようになりました。多くの場合、その記録を保存する組織や機関がないまま、散逸する危険が高いのは大変に残念なことではないでしょうか。
そこで、WANのサイト上に、それらの情報を電子アーカイブ化することを提案いたします。
アーカイブ化することによって、第一に、現場により近い情報を半永久的に記録することができ、これからの女性史研究に貴重な資料を提供することができます。
第二に、ややもすれば、中央やマスメディア中心になりがちな視点を修正して複眼をもつことができます。
第三に、グローバリゼーションの進む中、高まる海外からの日本研究にも大いに資することを予測できます。
そしてなによりも、次の走者たちにカラフルなバトンを何本も渡すことができるーーミニコミが担ってきた歴史的任務、悪戦苦闘の軌跡を次の世代が知ることによって得る財産は、無尽蔵にあるように思うのです。思えば日本のウーマンリブの歴史も、ミニコミやちらしを大切に保存した人たちの手によって『資料日本ウーマンリブ史』3巻本として、わたしたちが受け継ぐことが可能になったのでした。さらにこのような資料があったからこそ、旧版および新編『日本のフェミニズム』全12巻の刊行も可能になりました。
ミニコミを収集・保存することは、今日、ウェブ媒体のおかげでかつてなく容易になりました。ミニコミの紙質や手触りなどの手作りの良さは、失われるかもしれません。しかし、先端のIT技術――具体的にはPDFによって、活字の大きさ、形、レイアウトなどを残すことは可能です。簡単なアクセスで即刻、国境を越えた多くの人々に、活動の息吹、志を伝えることができます。これこそが次世代への最大のプレゼントだと信じます。
失われる前に永遠の共有財産に!
趣旨にご賛同いただき、ご協力くださいますよう心からお願い申し上げます。
呼びかけ人
『新編 日本のフェミニズム』(岩波書店、2009-2011年)編者一同(50音順)
天野正子・井上輝子・伊藤公雄・伊藤るり・上野千鶴子・大沢真理・加納実紀代・斎藤美奈子
WAN理事長 上野千鶴子
DOCUMENT-WAN(略称D-WAN)チーフ 満田康子
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