<てるてる Reading Circle とは?>
2012 年に⼥性学(「⼥性の⼥性のための⼥性による学問」)の第⼀⼈者である故井上輝⼦先⽣が和光⼤学を定年退職後「⽊曜研究会 」をスタート。2014 年度に「GF 読書会」と名称変更し、WAN サイトの⼥性学講座コーナーに半期ごとの活動報告を掲載。2021 年に井上先⽣が逝去された後は「てるてる Reading Circle」として、オンラインで活動中。メンバーはさまざまなバックグラウンドの 20 ~ 70 代の⼥性たち。現在新メンバーを募集中。ご連絡はこちらまで:teruterurc@gmail.com

<書籍紹介>
⽇本初の⼥性問題専⾨書店「ウィメンズブックストアゆう」<⼥の本屋>ができるまでとその後、そして、中⼼⼈物である中⻄豊⼦さんの物語。今でこそ、フェミニズム専⾨書店も増え、⾒たくないタイトルや表紙などに触れることなく、安⼼して書店に滞在できるようになりましたが、「ウィメンズブックストアゆう」がオープンした 1982 年当初はもの
めずらしいものだったと想像します。開店当初のことがこう書かれています。<リストに従って集めた“婦⼈問題”の本を店に並べてみた。だが全部の棚の半分以下しか本が⼊らない。本が⾜りないのだ。>また、<「⼥の本屋」の意味の取り違えで、ポルノ専⾨店と間違えられてしまったこともあった。>けれども、そこは⼥性たちが待ち望んでいた場所。各地でフェミニズム運動をしている団体が発⾏しているミニコミ誌が⽇本全国から届くようになりました。そして、その後は出版も⼿掛けます。表紙が印象的な「資料・⽇本ウーマンリブ史1〜3巻」は、中⻄豊⼦さんを中⼼に紆余曲折を経て出版された本。その制作から出版に⾄るまでの過程が詳細に描かれています。また、ベティフリーダンの初来⽇にあたり、講演会を企画したことなども、ドラマティツクに書かれています。そこには、たくさんの⼥性たちの名前が出ていて、シスターフッドのあたたかさや⼒強さが感じられました。
後半は中⻄豊⼦さんの半⽣が綴られています。主婦業からフェミニズムに出合ったこと、ご病気のこと、パートナーとのこと、⼥性史としても⼼が動かされる話でした。

<読書会を終えて>
私はこの読書会に参加してまだ数カ⽉の新参メンバーです。参加のきっかけは私が職員として編集を担当しているこちらの冊⼦(https://wan.or.jp/article/show/11168 )で活動を紹介したことでした。読んでいる本のおもしろさもさることながら(https://wan.or.jp/article/show/11503) 、故井上輝⼦先⽣の「⼤⼈の⼥性の学び実践」を実際に体感されたメンバーの学びたい欲求に触発されたことも⼤きかったのです。各章を分担して読み込みレジュメにして発表するというスタイル…私がフェミニズムに出合い、フェミニストに育ててくれた 90 年代後半の⼥性センターでの連続講座を思い起こさせるものでした。そして、世代もバラバラであるメンバー全員がフェミニストであるという安⼼感も私にとっては⼤事な要素でした。
今回取り上げた『⼥の本屋の物語―ウィメンズブックストアものがたり』は、各章の担当は置かずに気になったところをみんなで話し合う輪読スタイルでした。気になるポイントが重なったり、まったく違ったりするのも、おもしろさのひとつです。
共通の気になるポイントは、「マスコミに登場したリブ」の項。中ピ連への評価など、貴重な証⾔が書かれている部分でした。また、パートナーさんとの出会いと別れまでが描かれている終盤の「私のパートナー」に⼤いに感銘を受けたという声、実は私はそこまで読み込んでいなかった部分なので新発⾒でした。私からは、上野千鶴⼦さんの解説「思いは⼿渡されるためにある」は、⼥性が⼥性を想うあたたかさに思わず涙が出てしまったと話しました。そこからまた話が膨らみ、違う⽅向に⾏ったり…。ひとりでは読むのとは、⼤違いの読書体験でした。

◆書誌データ
書名 :⼥の本屋の物語―ウィメンズブックストアものがたり
著者 :中⻄豊⼦
⾴数 :283 ⾴
刊⾏⽇:2006/7/1
出版社:ウィメンズブックストアゆう
定価 :1,100 円(税込)

女の本屋の物語

著者:中西 豊子

ウィメンズブックストアゆう( 2006/07/01 )