この夏は、とりわけ暑い。どこか涼しいところへ行きたいと、京都から箱根へ向かう。娘と孫娘といっしょに8月7日~9日まで2泊3日の小旅行。いいお天気に恵まれ、日差しは強いが、標高差がある分、高原の涼風が気持ちいい。それに水が、とってもおいしい。
留守中、98歳になる叔母はデイを休んでショートステイにお願いする。お土産は寄木細工のマグカップと梅干しとお菓子と。無事に3日間、ショートステイで楽しく過ごしてくれたようで、ホッと一安心。
新幹線「こだま」で小田原まで。途中、米原から岐阜羽島あたりは小雨だったが、小田原は快晴。事前に「箱根フリーパス」(3日間用)をネットで購入していたのでアプリを開き、QRコードで小田原から箱根湯本~強羅の小田急箱根登山電車、強羅~早雲山の箱根登山ケーブルカー、早雲山~大涌谷~桃源台の箱根ロープウェイ、それに芦ノ湖の海賊船や彫刻の森美術館も、すべてフリーパスで通れるので便利だった。
箱根湯本の「ホテルマイユクール祥月」へ。商店街を通り抜け、湯本橋、弥生橋を渡り、急な坂道を登ってホテルにスーツケースを預け、また坂を下って湯本橋たもとの「初花」で蕎麦をいただく。
箱根湯本駅~彫刻の森駅まで登山電車で30分。途中、急な坂道をスイッチバックでジグザグに折り返し運転で登っていく。3カ所で運転手と車掌が狭い通路を走って交代する。5、6月頃、鬱蒼と繁る山々を背景に、あじさいの花が列車すれすれに満開に咲くという。別名「あじさい列車」というらしい。
幸せを呼ぶシンフォニー彫刻

ミス・ブラック・パワー
まずは「彫刻の森美術館」へ。1969年に開いた日本初の野外美術館。緑豊かな庭園に近・現代の彫刻家の作品が120点もあるとか。「幸せをよぶシンフォニー彫刻」(ガブリエル・ロワール)のステンドグラス製の丸い塔の螺旋階段を登ると、高さ18mの展望台から360度、全景が見渡せる。体を吹き抜ける爽やかな風が気持ちいい。
「ミス・ブラック・パワー」(ニキ・ド・サン・ファル)、「女」(朝倉響子)、「浮かぶ彫刻3」(マルタ・パン)などの作品が、森や池を背景に自然の中に配置されている。奥の「ピカソ館」には、パブロ・ピカソの陶芸や絵画、彫刻など多様な技法のオブジェが公開されていた。

女

浮かぶ彫刻

ピカソ館
ゆっくり眺めていたら、もう5時閉館となり、急いで箱根湯本の宿へ戻る。天然温泉にゆっくり浸った後、「美味しいものを少しずつ」をコンセプトに、調理長のセンスのいい和食ベースの創作料理をたっぷりといただく。お腹いっぱいなのに、とっても消化がいい。ああ、おいしかった。
2日目の朝は、バイキング形式の色とりどりの朝食をいただき、箱根湯本~強羅まで登山電車で。強羅~早雲山まで箱根登山ケーブルカーに乗り、早雲山から箱根ロープウェイに乗って森の中をくぐり抜けて約1時間で大涌谷に到着。
40万年前から続く火山活動の跡が地表に現れ、硫黄のにおいも漂ってくる。つい最近しつらえられたガラス張りの新スポット「ちきゅうの谷」から見える谷底の「地獄」の湯煙が昇ってくる。「くろたまご」像の向こうには雲に隠れた富士山が少し姿を見せていた。
再び早雲山~桃源台まで箱根ロープウェイに乗り、約30分で芦ノ湖に到着。芦ノ湖は約3000年前の大爆発で生まれた自然の堰止湖。水源は湖底からの湧き水だとか。だから透明度が高い。芦ノ湖の海賊船「ロワイヤルⅡ」に乗り込んで湖上のクルージングを楽しむ。
途中、元箱根港で下船、箱根神社へ参拝する。正参道から御社殿まで石段90段を登る。坂上田村麻呂が戦勝祈願をしたという樹齢1200年の「矢立の杉」が聳え立っていた。
湖岸のカフェで一服。再び海賊船に乗って桃源台まで。ロープウェイ、ケーブルカー、登山電車を乗り継いで箱根湯本まで。さて、お土産は明日にしようか。
歩き疲れた足も天然温泉ですっきりした後、夕食は昨日のメニューとはまた違う創作料理が並ぶ。専属パティシエがつくるアフタヌーンティスタイルのデザートもおいしい。まあ、なんて贅沢なこと。

大涌谷

芦ノ湖、海賊船から
最後の3日目は宮ノ下の富士屋ホテルへ。箱根湯本から登山電車でスイッチバックを3回繰り返して、約20分で宮ノ下駅へ。街道沿いの嶋写真店は富士屋ホテルと同じ年に創業したという老舗写真店。富士屋ホテルを訪れたジョン・レノンとオノ・ヨーコ、チャールズ・チャップリン、ヘレン・ケラーなどのセピア色の写真がショーウィンドウに飾られていた。
富士屋ホテルは明治11年(1878年)開業。国内外の著名人が訪れた日本のリゾートホテルの草分け的存在。2年に及ぶ改修工事を終えて2020年にグランドオープン。本館は登録有形文化財になっているとか。ホテルの誕生から現在までの貴重な史料を集めたホテル・ミュージアムも無料。多くの彫刻や絵画が壁に飾られたフロント・レセプションやロビー(マジックルーム)も自由に眺められる。さながら全館、美術館のようだ。ラウンジ(オーキッド)で庭を眺めながら紅茶をいただく。

富士屋ホテル
かつてチャールズ・チャップリンが富士屋ホテルに滞在した時、近くの熊野神社あたりを散策したという「チャップリンの散歩道」を、チャップリンと同じく、小道を歩いてみた。
帰りは宮ノ下駅近くの「ならやあん」、温泉宿を改築した可愛い雑貨屋さんとカフェで、ネコちゃんの写真の個展を見ながら軽い昼食をいただく。
あとはお土産を買って帰るだけ。箱根湯本の商店街でお土産を買う。叔母のショートステイへ出発のお世話をお願いした同じマンションの男友だちに、蒲鉾と佃煮を。孫娘は部活の友だちに、それぞれの品々を、あれこれと選んでいた。スーツケースに荷物を詰め込み、小田原から新幹線「ひかり」で夕刻、京都へ戻る。
お盆前の三連休は、どうやら雨模様らしい。私たちはお天気に恵まれて幸いだったが、翌日から九州や各地で線状降水帯が発生。大雨洪水警報まで出ているようだ。「どうか、みなさま、被害がないように」と願うばかり。
そして夏休みの旅は終わった。孫娘は宿題に追われて大わらわ。まだまだ暑さは続くみたい。涼しい箱根では連日、15000歩近く、歩いたかな。それも坂道や石段を登って。でも天然温泉のおかげで、疲れはスッキリとれたけど。
先日、数年前に期限が切れていたパスポートの申請に娘と孫とともに出かけた。近いうちに受取りに行かないといけない。10年のパスポートも今回で4回目かな。1989年、2001年、2011年、2025年と。前回の申請時と今回の顔写真、あんまり変わってないみたいだけど、今度、パスポートが切れる頃は90代だ。あと10年、海外旅行に行けるかなあ。それと、もう少し円高になってくれたらいいけれど。
先日、近くの新風館「Ace Hotel Kyoto」の1階ロビー「Stumptown Coffee Roasters」で、いつものようにコーヒーを飲みながら本を読んでいたら、隣の席の女性が話しかけてきた。
ハワイ在住でアメリカの市民権はあるが、日本は二重国籍を認めていないため、アメリカで市民権を取得すると日本国籍を失うことになるという。「日本とアメリカを何度も行き来するので、ちょっと不便なのよ。アメリカと日本の二重国籍が欲しいんだけど、石破総理に頼んでみてくれない?」と言われる。
「あなた、どこか外国へ旅をされたことがありますか?」と聞かれたので、20年ほど前、南周りの飛行機でイスタンブール~マルタ~シシリー島へ出かけたこと。「海外旅行は、いつも宿は決めずに現地で一つ☆の安宿と交渉して、安い旅費と安い滞在費で、ひと月ほどヨーロッパ各国へ何度か旅をしました」とお話すると、「まあステキ。いいわねぇ。このところ京都の暑さに負けて倒れそうになっていたけど、あなたのお話を伺って、とっても元気になったわ。どうもありがとう。それで、あなたのお名前は?」と聞かれたので「Mine」と答える。
「イスタンブールの安宿のフロントで私のパスポートを見せたら、宿の主人から『Mineはトルコの女の子に、よくある名前だよ』と言われました」と笑って答えた。
明日は東京へ向かうという彼女に「どうぞ、お元気で。お暑い日々、くれぐれもご自愛のほど」とお伝えして、ひとときのご縁に感謝してお別れをする。
ああ、もう一度、元気なうちに、どこか遠くへ、知らない町へ、ふらっと「道草の旅」に出かけてみたいなあ。
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