
「男らしさ」から「自分らしさ」へ――
男性が自分自身の意識や生活をみなおし、ジェンダーを超えた平等な社会をめざした新しい試みの記録として、この『男性運動資料集成 第Ⅰ期 メンズリブ1991-2010』全10巻・別冊1を出版することとなりました。
この集成は、欧米の運動とはべつに、日本で独自に発展した日本の「メンズリブ」運動を先導したメンズセンター(メンズリブ研究会)の活動の軌跡を、その機関誌『メンズネットワーク』全91号(1991-2010年)とその周辺資料から跡づけた、はじめての本格的な「男性運動」の資料集成となります。
DVにおける加害者性、ゲイムーブメント、「インターセックス(性分化疾患)」、男性の更年期問題、家事労働分担、クィアなど。ジェンダーと家族がはらむさまざまな問題を提起した先駆的な記録をふりかえることで、「男性学」という狭い枠組みにとらわれない、あたらしいジェンダー研究の地平を切り開くものです。
「男性たちの“生の声”を集めた」「日本の男性をめぐる歴史的ドキュメント」(伊藤公雄)であるこれらの記録は、男性たちをとらえて離さない「あるべき自分像」を解毒する(太田啓子)ために、男性も女性もが知っておきたいテーマにあふれています。これらを確認することで、「“男らしさ”のステレオタイプ」(佐藤卓己)が、どれだけ深く私たちの価値観に根ざしているのか、「男らしさのイメージ」とはなにかが、あらためて浮き彫りになることでしょう。
「男の解放は男自身にしかできない」(上野千鶴子)という自覚のもと、男性自身が自由と解放を手にするために真摯に向きあった軌跡であるこの資料を、多くの人びとといま、共有できればと希望しています。
小社HPからカタログをダウンロードできます(https://www.fujishuppan.co.jp/)。
個人でのご購入はむずかしいかと思いますが、大学図書館、公共図書館にリクエストいただいて、ぜひお手にとってご覧ください。 (担当編集者)
書名:『男性運動資料集成第Ⅰ期 メンズリブ1991-2010』全10巻・別1
編著者名:伊藤公雄・大山治彦・大束貢生・多賀太
総頁数: 約3800頁
刊行日: 第1回配本(全3巻)2025年9月/第2回配本(全4巻)2025年11月/第3回配本(全3巻・別1)2026年4月(予定)
出版社: 不二出版
揃定価: 244,200円(税込)※配本ごと分売可
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