
韓国、台湾、日本からの参加者
2025年8月19日~20日、ソウルにおいて、韓国女性政治センター主催の国際会議が開催され、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」はそこに招かれました。共同代表の田中優子と、共同副代表の竹信三恵子が参加しましたので、ここに報告します。
この会議は、韓国、台湾、日本の女性市民運動の人々の会議でしたが、そこに脱北研究者たちも加わり、北朝鮮の女性の現状についての報告がありました。会議の目的は、
Asia Women Initiative for Parity and Peace(アジア女性パリティ・平和推進ネットワーク)の構築であり、会議の最後はその概要が提案され、承認されました。ここに2日間のプログラム、ネットワークの概要、韓国語と英語で作られた当日資料の表紙、参加者の写真を共有します。

韓国語と英語で作られた当日資料の表紙
2025年韓国女性政治センター国際会議
テーマ:朝鮮半島および東アジアにおける女性、平和、安全保障:国際協力と市民社会の役割
日時:2025年8月19日(火)~20日(水)
会場:汝矣島ケンジントンホテル15階 セントラルパークルーム
主催:韓国女性政治センター
言語:韓国語、日本語、中国語(台湾)の通訳付き
参加者:国内外の研究者、活動家、政策立案者、国際機関関係者、そして女性と平和に関心のある一般市民
背景と目的
2025年は、国連安全保障理事会決議1325号(女性、平和、安全保障(WPS))採択25周年にあたります。この決議は歴史的な節目となり、国際社会に対し、紛争の影響を受けた女性の権利を保護し、平和構築プロセスへの女性の参加を確保するよう求めました。しかし、25年が経過した現在も、分断と軍事的緊張が続く韓国では、女性の権利と参加は構造的に排除されています。
特に、北朝鮮の女性の権利問題は、国際舞台において最も脆弱な人権問題の一つであり続けています。長期にわたる孤立、制裁、政治的抑圧のもと、構造的なジェンダー差別、暴力、経済的搾取に直面しているにもかかわらず、彼女たちの問題は国際的な議論において一貫して取り上げられていません。北朝鮮の女性たちが生存中および脱北中に直面する人権侵害は、単なる人道問題ではなく、平和と安全保障の文脈における重要な問題として認識されなければなりません。
この国際会議の目的は、以下のとおりです。
・女性平和・保障制度(WPS)の観点から、北朝鮮の女性の人権状況を分析する
・韓国および近隣諸国における女性平和・保障制度(WPS)の実施経験を共有する
・東アジアの女性市民社会の連帯を通じて、国際協力の戦略を模索する
最終的には、東アジアの女性が平和体制の構築と人権促進に積極的に貢献できる国際ネットワークの基盤を築くことを目指します。
プログラム
開会の辞 キム・ウンジュ(CKWP)
セッション 1. 国連安保理決議1325号25周年を振り返って ― 朝鮮半島の平和と女性
発表1. UNSCR1325の枠組みで見た北朝鮮女性の人権 玄仁愛(ヒョン・イネ)
発表2. 朝鮮半島におけるUNSCR1325の実施状況の分析 趙榮珠(チョ・ヨンジュ)
討論1. 金エリ(キム・エリ)
討論2. シェン・シウファ (台湾 婦女新知基金会顧問・前理事長)
討論3. 金貞洙(キム・ジョンス) 「平和をつくる女性会」 理事
討論4. 竹信三恵子(たけのぶ みえこ) ジャーナリスト・和光大学名誉教授
セッション 2. 2024年 脱北研究者による北朝鮮社会変化研究
発表1. 金正恩政権のニューメディア活用戦略とメッセージ研究
廉承祐(ヨム・スンウ、ユタ大学博士課程)
発表2. 北朝鮮青年の韓流受容態度の考察
李眞松(イ・ジンソン北韓大学院大学博士課程)
発表3. 北朝鮮における市民社会的要素の研究
金景淑(キム・ギョンスク、延世大学校 医科大学 統一国際医療領域 客員教授)
討論1. 徐廷浩(ソ・ジョンホ、嘉泉大学校 教授)
討論2. 李時孝(イ・シヒョ、明知大学校 研究教授)
討論3. 趙賢廷(チョ・ヒョンジョン、統一研究院 副研究委員)
セッション 3. 東アジア諸国のWPS活動と国際協力
発表1. 女性差別撤廃条約(CEDAW)と日本女性の現状
田中優子 「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」代表
発表2. 台湾の女性差別撤廃条約(CEDAW)履行における女性市民社会の役割と挑戦 馮 燕文(フォン・イェンウェン、台湾女性団体全国連合会 常任理事)
討論1. 權然伊(クォン・ヨニ、東京大学 訪問研究員)
討論2. 李敬娥(イ・ギョンア、湖西大学校 研究教授)
討論3. 張恵英(チャン・ヘヨン) 第21代 国会議員
セッション 4. アジア女性ネットワーク構築のためのラウンドテーブル
祝辞
權香葉(クォン・ヒャンオプ) 第22代 国会議員
安明玉(アン・ミョンオク) 第17代 国会議員・韓越女性フォーラム共同代表
金孝善(キム・ヒョソン) 女性新聞 発行人
発表 「Asia Women Initiative for Parity and Peace」構築のための提案
金恩珠(キム・ウンジュ) 韓国女性政治研究所 所長
会議の最後に提案・承認された
Asian Women Initiative for Parity and Peace (AWIPP)
(仮訳)アジア女性パリティ・平和推進ネットワーク
•AWIPPは、「ジェンダー平等なき平和は不可能であり、男女同数なき民主主義は不完全である」という原則に基づき、アジアの女性たちが国境や境界を越えて、ジェンダー平等と平和を包括する新たな秩序を構想し実践する政治的行動プラットフォームである。
•AWIPPは緩やかなネットワークを超えて、政策変革を促す戦略的連帯体として、男女平等な代表性による民主主義の再構築とフェミニズム的平和パラダイムへの転換を目指す。
•アジアは米中間の覇権競争の激化により、経済協力の空間から軍事的対立の舞台へと転換している。主要アジア諸国が軍備増強、軍事訓練、武力示威を強化するにつれ、軍事・安全保障中心の政策と論理が強化された。その結果、女性の声は周縁化され、フェミニズム的平和論は「非現実的」という烙印を押され、政策議論や公的言説から排除されている。
•したがって、平和とは単に戦争の不在ではなく、ジェンダー平等・正義・ケア・持続可能性を含む包括的価値に基づくものであり、それを実現するためのフェミニズム的平和パラダイムの提示と集合的実践プラットフォームの構築が切実に求められている。
•アジア女性は地政学的不安定とジェンダー不平等が結合した複合危機に直面している。この多層的・複合的危機に対応するには、国家単位の断片的対応を超え、共通のアジェンダを中心に国境を越えて連帯し、戦略的行動を組織する政治主体が必要である。
•イニシアティブは単なるネットワークや交流を超え、共通目標と行動戦略を持つ実践的連帯体として、男女同数と平和を目指しアジェンダを主導し、実践的行動を行うという政治的意義を持つ。
ミッション(Mission)
(1)Parity(男女同数)の制度化:あらゆる意思決定過程における女性の平等な代表性の保障。
(2)フェミニスト平和の拡散:軍事・安全保障中心秩序を超え、性平等・正義・包摂・ケアを含む平和観を拡大。
(3)政策介入力の強化:アジア女性の共同行動を通じ、国内外の意思決定構造に戦略的に介入。
(4)リーダーシップ育成:若い女性や多様な背景を持つ女性リーダーを発掘・育成し、次世代の政治・平和リーダーシップを構築。
(5)国際連帯の拡大:アジア女性の声を国連、ASEAN、G20など国際舞台で積極的に発信。
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