
1950年代.若き紡績労働者たちのリアルが甦る!!
1954(昭和29)年、基本的人権の確立と労働条件の改善を掲げた近江絹糸人権争議は労働組合側の歴史的な勝利に終わった。争議後、組合は「みんなで書く運動―らくがき運動」を開始。職場や寮に設置されたらくがき帳や投書箱に集まった「らくがき」を素材に、各職場が職場新聞を編集・発行し、その内容に基づいて職場要求闘争が組織された。
私は「らくがき運動」の中心人物であった辻保治の遺した近江絹糸紡績労働組合関係資料(大阪産業労働資料館[エル・ライブラリー]所蔵)の整理を担当したが、1,400点近い資料の中でも現場の労働者である各職場の編集委員が自らガリ版を切った職場新聞に、特に熱気と手作りの素朴さを感じた。翻刻に取り組むとともに、当時、近江絹糸で働いていた労働者の協力を得て解題や脚注を作成。1956-58年彦根支部で発行された職場新聞6紙を翻刻、刊行に至った。
新聞記事には詩、替え歌、綴り方、小説、漫画などが含まれ、仕事への意見や不満だけでなく、恋や結婚の悩み、故郷への想いなど10代から20代前半の若者たち、とりわけ8割以上を占める女性労働者達の率直な「声」が溢れている。また、1950年代の社会・文化状況や紡績労働の実態を映し出している。労働運動史のみならず技術史・文化史・ジェンダー史の観点からも本書をご活用いただければ幸いである。
◆書誌データ
書名 :働く・闘う・恋・らくがき: 近江絹糸紡績労働組合彦根支部職場新聞集 1956-1958
編・翻刻・解説 :下久保恵子、公益財団法人 大阪社会運動協会
頁数 :396頁
刊行日 :2026/1/23
出版社 :耕文社
定価 :4,950円
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