
知の定説に挑み続けるフェミニズム
何が見えなくされてきたのか? 誰が負担し、誰が利益を得るのか? フェミニズムは名前のない不正義を明らかにし、交差的に作用する権力構造を喝破する。
旧来の学問や制度は、男性や白人、健常者、異性愛者、民族的マジョリティ、植民地化やグローバル化の中心にいる者など、相対的に力を持つ人たちの経験を基に構築されてきました。フェミニズムは、それ以外の、存在を不可視化された人たちの経験もかけがえのないものであり、そこから紡ぎ出される思考は社会の歪みを問い直し、知を豊かにし、人々を自由にすると教えてくれます。
本書は、哲学、教育学、社会学、経済学、政治学、法学など多様な分野を章の起点に据え、フェミニズムがこれらの学問にいかに貢献したのかを歴史的に概観します。日本ではあまり取り上げられてこなかったポストコロニアリズム、安全保障、科学・技術、エコロジーも扱います。欧米で発展した理論の紹介にとどまらず、日本での受容・発展についても解説することで、日本特有の現象や課題も浮かび上がらせます。
近年、フェミニズムへの関心は高まる一方、断片的な知識に留まることも少なくありません。本書は、学問としてのフェミニズムを網羅的かつ批判的に扱い、フェミニズムがいかに知の世界に革命を起こしてきたのか、人びとに語る言葉を与えてきたのか、そしてこれからどこへ向かうべきかを描きます。
いまを問い直し、未来を変えていく冒険を、この一冊から始めよう!
世界思想社Webサイトから「はじめに」をお読みいただけます。
https://web.sekaishisosha.jp/posts/9432
【目次】
はじめに 〔申 琪榮〕
◆Ⅰ 理論と方法の現在──知・主体・身体
第1章 表 象──美術史から考えるフェミニズム(天野知香)
第2章 フェミニスト現象学──経験について考える(中澤 瞳)
第3章 フェミニスト認識論──認識的不正義を中心に(飯塚理恵)
第4章 フェミニズムとクィア──緊張と分断とをどう乗り越えるのか(清水晶子)
第5章 フェミニスト・ペダゴジー──権力を問い、新たな関係性を創造する(虎岩朋加)
コラム① イランの社会運動とフェミニズム〔山岸智子〕
◆Ⅱ 生活世界の再生産──ケア・貧困・労働
第6章 フェミニスト障害学──複合差別の経験から身体と規範を問い直す(稲原美苗)
第7章 ケ ア──近代社会におけるケア・ペナルティとジェンダー(山根純佳)
第8章 再生産・生殖──リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、リプロダクティブ・ジャスティス(飯田祐子)
第9章 貧 困──「貧困の女性化」アプローチを超えて(藤原千沙)
第10章 労 働──働く人の連帯をうながすフェミニズム(金井 郁)
第11章 セックスワーク──周縁からの挑戦(青山 薫)
コラム② 中絶の権利運動とSRHR〔福田和子〕
◆Ⅲ 周辺から問う権力──暴力・植民地主義・国境
第12章 インターセクショナリティ──交差的抑圧に抗うための批判的探究と実践(徐 阿貴)
第13章 ポストコロニアル・フェミニズム──交錯する歴史と身体(趙 慶喜)
第14章 沖縄と暴力──二つの占領の狭間を生きる性/生のポリティクス(洪 玧伸)
第15章 トランスナショナリズム──グローバル時代における女性の国際移住を問い直す(申 知燕)
第16章 親密な関係における暴力──被害者からサバイバーへ(山本千晶)
コラム③ フェミニスト・ストライキ──ラテンアメリカからの新展開〔伊田久美子〕
◆Ⅳ 統治の再編と地球的公共圏──政治・技術・エコロジー
第17章 政治代表性──プレゼンス・政策・象徴のプロセスから読みとく(申 琪榮)
第18 章 平和・安全保障──力による安全を問い直す(本山央子)
第19章 新しいメディアとAI――変わる技術・変わらない社会(田中東子)
第20章 科学・技術とフェミニズム──終わらない葛藤とともにある変革(隠岐さや香)
第21章 エコロジー・環境──生きる場をつくる(福永真弓)
コラム④ フェミニズムとSNS──個人の力が世界をつなぐ〔井口裕紀子〕
おわりに 〔青山 薫〕
さらに学びたい人のために
索 引
◆書誌データ
書名 :『フェミニズムを学ぶ人のために』
著者 :申琪榮・青山薫(編)
頁数 :364頁
刊行日:2026/4/10
出版社:世界思想社
定価 :3,300円(税込)










