今年2月に出た江原由美子さんの新著「フェミニズム」(岩波新書)。帯は写真の通り「って、いったい何? 第一人者による待望の入門書」とあります。WANサイトの読者なら、「そんなもの、今さら…」かもしれません。でも私はこの本を読んで、視点が上がり、現在なぜ「ケア労働」がフェミニズムの大切な問題として議論されているのか、その理由が少しわかってきたと思いました。
今日の世界で人権思想の端緒となったルソーらの啓蒙主義の「自由な個人」には、そもそもケアする立場の女性は入っていなかったという指摘、確かにそうだと納得しました。ケアする人は自分の自由な意思を行使できないから「自由な個人」ではないのです。家父長制だけでなく、啓蒙主義も女性差別を織り込んだ思想としてスタートしていたのでした。
そのおおもとにあるのは「公私二元論」。
社会人として働き始めたころ、仕事とプライベートは別と考えていました。手帳を2つ用意して、仕事用とプライベートと別々に記載していました。しかし、これはすぐに破綻しました。なぜなら体は一つだから。なので、同じ手帳で、記載するボールペンの色で公私を分けようとしました。それが続けられたのも子育てが始まるまで。その後、私の手帳には、公私ごちゃまぜの予定と記録がてんこ盛りです。
私が出会った頃のウーマンリブでは「まるごとの私」という言葉がありました。私は私。腑分けされたくなんか、ありません。それを肯定したうえで、私たちは言葉を持たなくては。
江原さん、あらためて、そんな気付きを与えてくだる本を書いていただき、ありがとうございました! (大田季子)

フェミニズム (岩波新書 新赤版 2098)

著者:江原 由美子

岩波書店( 2026/02/25 )