WANac第3期 第2回が開催されました。今回のレポートはtamaoさんとめぐさんです。
◆tamaoさん
9月からのあっという間の1か月。早くも第2回を迎えた。第1回で各自が研究計画を発表し、すでに次のステップに進んでいる受講生もちらほら。羨ましさを覚えつつ、講座が始まった。冒頭は、前回時間が足りず発表がお預けとなっていた先輩方2名。運営スタッフとして私たち受講生の学びを支えながら、自らも一人の研究者として問いに向き合っている。モニター越しにも伝わる上野先生の激しい檄と、熱のこもった眼差し。それはまさに同じ土俵に立つ研究者への視線だ。対する先輩方も、どんな質問が飛んできても自分の言葉で堂々と返し続ける。互いがぶつかり合う真剣勝負のような緊張感に、思わず息をのんだ。「君たちもここまで登ってこい」――そう背中で語られているような気迫に圧倒されながら、2人の発表が終わった。いよいよ私の番だ。3期生のトップバッター。前回最低評価だったから一番手に据えられたのか? そんな雑念は吹っ飛ばし、前回の雪辱を果たそうと、この1か月練り直してきた内容をぶつけた。どこか優しい態度に変身した上野先生に戸惑いつつも、4分間の発表を無事に終える。受講生からの質問は、私自身も悩んだ部分だった。オリエンテーションで聞いた「互いに指摘し合い、高め合う」という言葉が、感謝とともに身体感覚として入ってくる。このリベンジ編では、問いの整理がついて次の調査段階へと進む人と、いまだ「何を明らかにするのか」と問われ、原点からの立ち上げ直しを模索する人に分かれた。「ここが一番大事」と第1回で指摘された通り、研究を進める過程では何度も根本の問いへと立ち戻るのだろう。だからこそ、研究の根幹となる「問い」をおろそかにしてはいけないのだと改めて感じた。
最後は、2期の先輩による論文のオーラルプレゼンテーション。配布資料なし、画面のスライドのみにもかかわらず、論点がクリアに伝わってくる。上野先生からは「学会に合わせ、15分で簡潔に起承転結を伝える力」の重要性が説かれた。プレゼンの鮮やかさに興奮すると同時に、「自分もここまで到達できるのか」と新たな不安が押し寄せる。居ても立ってもいられず討議で挙手しようとしたが、一瞬躊躇してしまった。その隙に別の手が挙がるも、上野先生から「それは感想」とぴしゃりと切り捨てられるのを見て、再び縮み上がってしまう。討議は先輩方も加わって一気に白熱した。同時代の文化や社会状況を補助線にすれば、発表の解釈はどこまで広げられるのか。次々と論点が飛び交うなかで上野先生が強調したのは、分析したデータから言えることと、文脈情報を加えて踏み込んだ推測、すなわち「スペキュレーション」とを区別することだった。スペキュレーションそのものは禁じ手ではない。根拠となる文脈を示したうえで「〜と考えられる」「〜と推測できる」と書けばよい。大事なのは、解釈を広げること自体ではなく、その解釈が何に基づいているのかを明確にすることだ。ひとつの研究が、議論を通じて思いもよらない方向へと射程を広げていく。その瞬間を目の当たりにして、論文は書いて終わりではなく、読まれ、問われることで育っていくのだと実感した。白熱する議論のなか、新メンバーの一人が「また感想になっちゃうんですが…」と果敢に飛び込んでいく。臆することなく自分の思いを言葉にしていくその無邪気さとタフさが、何ともまぶしい。こういう姿勢こそ見習いたいと、元気をもらいながら心の中で拍手を送った。後日のレスカ(レスポンスカード)では、上野先生へのコメント欄に、この1か月間研究計画と向き合い続けた思いを、一方的なラブレターのように書き込んだ。返事はあっさりとしたもので、少し失恋した気分。それでも、エールはしっかりと受け取った。最後に添えられた「発言してくれ〜」の言葉を胸に、次回こそは勇気を出して手を挙げよう。
◆めぐさん
今回はWANアドバンスコースの第2回目だった。前回で新規受講生による研究計画書の発表が一巡し、今回はそのリベンジ回にあたる。ただし前回に時間切れとなった「いきものがかり」の2名が、冒頭で研究計画書を発表した。いきものがかりとは、ゼミ全体と受講生全体のサポートを担う係のことで、私はこの役を引き受けながら、今期の受講をさせてもらっている。私は発表の1人目だった。今回の発表で痛感したのは、テーマがマニアック(専門的)であればあるほど、前提となる背景を、その分野を知らない人にも分かるように整理して書かなければならないということだった。応募時の研究計画書には字数制限があり、背景の多くを削って提出していた。しかし削った部分こそが、聞き手にとっての議論の入口だった。発表中、うえの先生からは、整理しきれていない箇所を正確に見抜いた問いが返ってきた。自分でも曖昧だと分かっていた部分は、やはり曖昧なまま伝わる。「このままではまったく伝わらない」と、その場で分かったことが今回いちばんの収穫だった。背景を書き直し、読む人に分かる形に整理してから次に進みたい。厳しい指摘を受けると、その場ではやはり落ち込む。しかし、自分の理解の限界を少し越えたところに問いを置かれることで、次に進むべき範囲がはっきり見える。背伸びをしなければ届かない場所に、あえて引き上げられる感覚である。このやりとりこそが、次の段階へのジャンプにつながるのだと思う。
私ともう1人の初回の発表が終わると、研究計画書リベンジに臨むみなさんの番になった。前回の指摘を一か月で自分のものにし、調査設計からデータ収集まで進めている方もいた。データ収集に踏み込むと、机上では見えなかった壁や失敗が現れる。進めたからこそ分かることがあり、それを共有してもらえることで、他の受講生も自分の研究に活かすことができる。ピアとして学び合う構造が、2回目にしてすでにでき上がりつつあることが見て取れた。後半は、博士課程に在籍する先輩の論文発表だった。流れるような、説得力のあるオーラルプレゼンテーションで、資料の作り方から話し方まで、すべてが参考になった。その後、論文の問題提起をめぐる議論が活発になったのは、内容はもちろん、発表そのものの質によるところも大きかったと思う。良い議論をもたらすのは良い発表であり、それは内容だけでなく、資料と話し方、そしてそれらが作り出す場によって成り立つのだと分かった。始まったばかりだと思っていたアドバンスコースも、次で第3回になり、それが終わると全体の4分の1が過ぎることになる。こう書くと恐ろしい速さに感じるが、一回ごとに確実に進め、一年でアウトプットを出せるように取り組んでいきたい。
2026.11.04 Wed









