
先日、初めて「炎上」を経験した。レーベルのxアカウントで、「ジュニア新書ではありますが、ぜひ大人の方にも読んでいただきたい一冊です」という文言とともに、本書のタイトルと書影を投稿したところ、大量のクソリプが寄せられたのだ。
そのすべては、この本を読んでもらえれば答えが書いてある内容だった。なんなら目次を読むだけでも、ある程度わかるように仕立てている。一つ一つに、「お前らのようなものでも理解できるように、具体例も豊富に挙げて、懇切丁寧に説明してあるから、つべこべ言わずに読め!」と返しそうになったが、私は品行方正、信頼と実績(?)の岩波ジュニア新書の中の人。怒りをグッとこらえて静観した。
ただの編集者である私でさえ、知らない人たちに攻撃されて心が疲弊した。名前や顔を公表して被害を訴えている方々の勇気は計り知れない。
本書の終章で、著者はこのように述べている。
「今、社会では「性的同意」について話し合われるようになってきました。〈中略〉
私はこうした変化が、自然に起きたものではないと知っています。
性暴力を受けて傷つきを負った人たちが、声をあげて、社会に声を届けて、変化を起こしてきたと知っています。
でも、傷つきを負った人たちが声をあげないと変わらない社会、声をあげたら傷つく社会は、もう抜け出したいです。一人一人が関心を持って話し合っていくことで、変わっていく社会になってほしいです」
性暴力のない社会にしたい、そのために「性暴力とはなにか」を多くの人に知ってほしい。本書には、被害者の心理的支援を専門とし、性暴力被害の実態を間近で見続けてきた著者の切実な思いが、やさしく誠実な文体で綴られている。
性教育を制限する「歯止め規定」が存在するこの国では、多くの人が「性」に関する正しい知識を身に付けないまま大人になる。これでは性暴力がなくなるわけがない。
どうか少しでも多くの人に、本書を読んでいただきたい。そして、どうしたら性暴力のない社会をつくれるのか、一緒に考えていきたい。
◆書誌データ
書名 :なぜ性暴力がなくならないのか
著者 :齋藤梓
頁数 :240頁
刊行日:2026/9/18
出版社:岩波書店
定価 :1056円(税込)









