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西村マリ 『BLカルチャー論 ボーイズラブがわかる本』

2015.09.17 Thu

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.ジェンダーを更新するBL

性描写のある男同士のラブストーリーBL(ボーイズラブ)になぜ女性はハマるのか。
このところ、BLファンをさす腐女子という言葉とともに、マスメディアへの露出が増えているBLですが、不思議に思う方も多いのではないでしょうか。ハマってしまった当事者である筆者も、不思議でたまりませんでした。

とはいえ、BLは決してエキセントリックな少数者間の流行でも一時的なものでもありません。驚くべき作品数とコンスタントかつ大規模なヒット。マンガや小説だけでなく、アニメやゲーム、サウンドドラマとフルに展開され、内容も実に多彩で網羅的な世界を形成しています。

歴史も長く、商業出版のジャンルとして成立してから、すでに四半世紀の時がたっています。そしてその背後には、四十年におよぶ歴史を持つ巨大な同人誌の世界が存在し、ネット上には素人によるBL作品の海が果てしなく広がっています。しかも日本だけの流行ではありません。BLはまさに未曽有の文化現象なのです。

このように巨大かつ複雑なBL界を読み解くために 本書では、BL界で通用しているキーワードやカテゴリーを道標にして、マッピングを試みました。

とりわけ重要なのは「王道」と「下克上」という言葉です。
王道とは、伝統的なロマンスの男性優位×女性劣位の構図を男同士に置き換えた作品群です。

しかしBLの真の魅力は「下克上」にあります。BLは「王道」を参照しつつ逆転と逸脱を繰り返し、年齢の長/幼、身分地位の上/下、能動性/受動性といったジェンダーに匹敵するような二項を一つ一つ覆してきました。さらには性関係の核心に迫って、男らしさの聖域をあますところなく攻略し、新たなジェンダーの地平を切り開いてきたのです。

そのスリリングな軌跡をご一緒にたどってみませんか。
BLに触れたことにない方にも読んでいただけるように、用語の説明、歴史や背景、男性サイドの動きなどにも触れています。

ご一読の上、是非ご意見をお聞かせください。なお青弓社のサイトに、ひと味違う視点から執筆した連載がございますので、チェックしていただければ幸いです。(著者 西村マリ)

【目次】

はじめに

第1章 BL前史――BLの源流
1 二十四年組・少年愛マンガ
2 第一回コミックマーケット開催――ホモパロ同人誌のはじまり
3 「JUNE」登場 
4 少年愛マンガの連載終了
5 一九八五年、『キャプテン翼』アニパロブレイク
6 商業出版への道

第2章 BLの誕生と展開
1 BLはいつ始まったか?
2 BLジャンルの成立
3 BL誕生の周辺 
4 「JUNE」概論
5 BL爆発
6 BLマンガ進化系

コラム 深層心理を抽出する二次創作とシミュレーションを繰り広げるBL

第3章 BLの王道
1 王道とはなにか?――BLの王道とハーレクイン
2 明るい王道――花嫁への道
3 王道ダークバージョンはどこへいく――アラブとヤクザ
4 王道の総決算――シンデレラは職業人
5 アラブもの
6 花嫁もの
7 まとめ

コラム BLの進化を促進した装置

第4章 BLカテゴリー大図鑑
1 男性サイドの萌え要素とBLのカテゴリー
2 王道内カテゴリー
3 カテゴリーの体系――逆転・逸脱によるカテゴリー:合言葉は下克上

第5章 攻めと受けの攻防――男らしさとは何か?
1 誘い受け・襲い受け――攻めが能動的で受けが受動的とはかぎらない
2 攻め×攻め――リバーシブルへの道
3 男と男の勝負?――『春抱き』の衝撃
4 3P小説の場合――複数攻め
5 全方位タイプ

第6章 BLとメディアの広がり
1 BLCD――BLサウンドドラマ
2 BLアニメ
3 BLゲームがもたらしたもの

コラム とりかえばや――ラノベとBL

第7章 最終ステージ――BL的エロの研究
1 再発見、男性ヌード
2 女はポルノを読む――新ジャンルエロロマ
3 再発見、性的に露骨なアート
4 BLのエロキュン――降臨するエロの神様
5 攻め・受けどちらに同化する?――BLのセックスシーンはどう読まれているのか
6 BL的エロの不思議――BLはどこへいくのか

おわりに








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タグ:BL