2011.01.23 Sun
2010年6月26日に、高槻市議会でも「慰安婦」問題に関する意見書が可決されましたが、「日韓強制併合100年」、「女性国際戦犯法廷」のこの年、各地で多くの催しが企画されました。私たちも地元高槻で11月7日に、国際法学者の戸塚悦朗さんをお招きして、「国際法の市民化の流れとジェンダーについて」というテーマで、講演会を持ちました。
戸塚さんは、国際法がご専門で、「慰安婦」問題に関して、早くからこれを人権問題として、著作や講演を通して法的な対応の必要性をアピールしてこられ、世界的に良く知られた方です。
もともと国家間の法だった国際法が、個人に適用されるようになったのは何時ごろ、どのようなきっかけがあったのかを、ご専門の立場からお話くださって、出席者は、改めて歴史とは関係史であり、今につながっていることを、振り返らざるをえませんでした。そして、歴史の中で、女性がまだまだ脚光を浴びることが少なかったこれまでの経緯を、今更ながらに思い知らされました。
1948年の世界人権宣言の成立を機に、人権の主体が「すべての人」―いわば人類構成員に広げられ、女性も、外国人も分け隔てなく認められるようになり、普通の市民が運動するようになって、女性市民の国際連帯―女性のNGOが立ち上がります。運動は、やがて個人の運動から「組織的、継続的」な運動へと広がっていきます。
こうした女性の連帯の中でも顕著な例が日本軍「慰安婦」問題で、韓国の被害者の訴えが、国内法の壁に阻まれるなか、国際法を援用する道が開かれました。NGOが国連に問題をアピールしたことから、多国間の国際機関がこれに関与していくことになり、多くの国の議会で国際的な人権問題としてこの問題が取り上げられるようになりました。
2000年12月の「女性国際戦犯法廷」は、こうした流れのなかで、国家が行わない処罰を、市民が法廷を立ち上げて行うという画期的なものでした。
これ以降、立法解決運動が東京中心に起こり、やがて草の根の運動が各方面で活発になります。市民の草の根運動も、保守派の妨害にもめげず全国規模になって来ています。さらに国際化した草の根運動と中央の運動が結びついたのが2010年11月25日の全国行動です。
11月7日の戸塚さんの講演のあと、25日に全国行動が起こり、12月5日には「女性国際戦犯法廷」10周年のシンポジウムが東京外国語大学で開催されました。その後証言に来日された被害者を迎えて各地で証言集会が開催されましたが、彼らの切実な訴えは、参加した多くの方に強烈なインパクトを与えたことがインターネットで報告されていて、改めてなお問題が山積していることを思い知らされました。運動はまだまだこれからです。息長く、粘り強く続けていきましょう。
(tjkn news letter No.44 より転載)
(志水 紀代子)
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