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弁護士の探し方 【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-7

2012.03.18 Sun

【打越さく良の離婚ガイド】NO.1-7 弁護士の探し方

7 離婚したいのですが,本人同士で話し合いが出来そうもありません。
良い弁護士に代理人になってほしいのですが,どうやって探せるでしょうか。

◎あなたに合った人を

あなたはどんな弁護士に代理人になってほしいでしょうか。何でも話しやすい人?
多少話しにくくても経験豊かで落ち着いた人?

弁護士との関係も人間関係のうち。結婚生活のことをこまごま話しやすい気さくな弁護士が良いと思う方もいるでしょう。一方で,そのような弁護士のことを「軽薄」と思って今一つ信用できないと思う方もいるかもしれません。

年配で経験豊かなベテランが信頼できると思う方もいれば,「こんなことを話したら内心馬鹿にされるのでは」と臆してしまい話しにくいと考える方もいるかもしれません。

ビシッと率直な話し方をして時には依頼者に「説教」も辞さない弁護士に,頼りがいを感じる方もいれば,「怖くて苦手」と思う方もいるでしょう。

逆に,丁寧に話をする弁護士を「穏やかでいい」と思う方もいれば,「冗長だ。婉曲的で結局何だかわからない」ともどかしい方もいるかもしれません。

要は相性です。知人の方に紹介されても,「この先生に任せていいかしら」と思うようなら,他に探してはいかがでしょうか。人それぞれですから,知人の方との相性はバッチリでも,あなたと相性が合うとは限りません。
紹介されても,遠慮することはありません。まずは,相談を受けてみて,あなた自身が「お願いしたい。」と思えば,依頼するということで良いのです。

でも,代理人との関係は,友人関係と違いますし,どんな人間関係でも「100%仲良し!」ではないのですから,ある程度の割り切りは必要です。100%相性が合う弁護士を求めて行脚…なんてことはやめましょう。念のため。

◎まずは法律相談から

紹介されても相性が合うとは限らないと書きましたが,とはいえ,信頼できる知人や親せきなどの紹介,いわゆる口コミは,弁護士を探す際に参考になります。でも,知人がお願いしたのが債務整理事件などが中心で離婚でなければ,離婚等家事事件もその弁護士が扱っているのか,確認してから法律相談の予約をとったほうがいいでしょう。

なお,事務所によって相談料が決まっていますので,予約の際に確認しておきましょう(大体30分ごと5250円が多いです)。

口コミ情報がなければ,弁護士会(事前に費用を確認してください)や日本司法支援センター(法テラス。利用するには収入が一定の額以下などの要件があります)の法律相談を受けてみましょう。
法テラスの最寄りの相談窓口はこちらで探せます(http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/)。また,市区町村が無料法律相談を実施している場合もあります。

あるいは,インターネットで「離婚 弁護士」などと検索して,最寄りの法律事務所を探し,離婚事件に精通していそうな弁護士を探して,法律相談を予約するという方法もあります。

いずれにしても,まずは法律相談を受けてみて,お願いしたいと思えば,委任しましょう。

最近は多くの法律事務所がホームページを作成しています(私が所属する事務所にもあります)。
法律事務所のホームページが華やかだと「やり手っぽい」とか,あるいはテレビに出ていて有名だから「きっとスゴイんだろう」といった印象を受けるかもしれません。
実際にそういう弁護士に巡り合えるかもしれませんが,何はともあれ法律相談で生身の弁護士と会ってみて,そのときに的確なアドバイスをするか,丁寧な対応であったかなどで,依頼するかどうかを検討することをお勧めします。

実際,ホームページが地味でも,ホームページを作っていなくても,無名でも,地道に丁寧に仕事をする弁護士もたくさんいます。

そうそう,「弁護士費用は高いのでは」と不安になる方も多いようですが,遠慮なく法律相談時に大体の見積もりを聴いてみてください。

どれだけ手続が必要か,経過によって変わりますから(調停で終わらず,訴訟,控訴審も必要になったり,離婚だけでなく面会交流の調停なども必要になるかもしれません),大体の見積もり程度にはなってしまいますが,サラリと回答してくれる弁護士がいいでしょうね。

見積もりをお願いしたら弁護士が不愉快な顔…なんてことになったら,不安になっても当然です。

◎若いかベテランか,男性か女性か

弁護士経験の長い年長の弁護士は,知識と経験の宝庫(専門分野には注意しましょう。)。他方,若くて弁護士経験の浅い弁護士だと,頼りなく思うかもしれません。しかし,経験は浅くても謙虚にベテランの先輩弁護士から学んでいる上,法科大学院や修習中に最新の知識をたくさん蓄えているかもしれませんし,フットワークも軽いかもしれません。

「若くて結婚もしていないと,私の苦労などわからないのでは?」と不安になるかもしれませんが,経験はなくても,弁護士たるもの,健全な想像力を働かせ,依頼者の痛みに共感するのが,役目です。弁護士には必須の想像力を備えていれば,若くても,きちんとした仕事をしてくれるはずです。

同様に,想像力を備えていれば,男性弁護士でも,女性の依頼者に共感し,女性弁護士でも,男性の依頼者に共感し,それぞれ,依頼者のために誠意を尽くすことができます。しかし,離婚事件では,性生活のことも話さなくてはなりません。

女性は男性の弁護士に,男性は女性の弁護士には話しにくいかもしれません。当然のことながら性別にかかわらず遠慮せず話して構わないのですが,それでも何かこう恥ずかしいということなら,話しやすい性別の弁護士にお願いしたほうがいいでしょう。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / 弁護士 / フェミニズム,家族,離婚, 打越さく良,エッセイ,離婚ガイド,親権