2012.02.08 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.「女の思想というのは、生き延びるための思想です。私たちは、生き延びるためにこそ言葉と思想がいるんです。私は、私の前を歩いた女たちから、その言葉と思想というものを受け取ってきました。その、前の女たちから受け取ってきたものを皆さん方にお渡しすべき時期が私にもまいりました。私は前の女たちから受け取ったものを皆さん方にお渡ししたい。私の最後の言葉はこれです。どうぞ受け取ってください。」DVDから流れる上野さんの「声」が私の心をつかんで離さない。私も上野さんのテキストから多くの言葉と思想を受け取ったひとりである。
2011年3月、東京大学を早期退職した上野さんは、同年7月9日、『東京大学退職記念特別講演 生き延びるための思想』の壇上に立った。当初、3月15日に予定されていた最終講義であったが、先の東日本大震災により、中止となっていた。本来なら最終講義にはタイトル「不惑のフェミニズム」が予定されていた。フェミニズムとは、弱者が弱者のまま尊重される社会をつくろうとした思想である。
震災は多くの災害弱者を生んだ。また、超高齢化により、かつて強者であった者も、加齢とともに、弱者を味わう時代となった。安心して弱者になれる社会、弱者として生き延びるために、私たちはもう、後に引き返すことはしない。かつて上野さんが女性学のパイオニアとして道を創ってきたように、私たちもまた、この先の道を創っていく。
堀 紀美子
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