上野研究室

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スカートの下の劇場    ~そろそろ知りたくありませんか~

2012.04.03 Tue

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 タイトルのインパクトは観客を惹きつけて離さない。スカートの下の劇場。いよいよ下(しも)の世界にスポットライトがあたる。卓抜なコピーと、評価も上々。煽情的なタイトルである。

上野さんの問いはこうだ。女の自己意識の検証を、男の眼を介さずにやってみるとどうなるか。男の眼が男の関心の角度からだけ切り取る女の身体について、女自身の自己意識のあり方を男の死角からとらえてみたら何がわかるだろうか。
自己意識(自分自身に関係する自分の意識)は、とりわけ自己身体との関係の中に、直接的にあらわれるという。男から見られるものとして、身体性の中に呪縛されてきた女の場合にはことさらである。男の死角からとらえた女自身の自己意識は、シスターフッドの潜在意識に眠っている。

「寝た子を起こす」とは、よく言われる例えだが、吉と出るか凶と出るか、答えはこの本にある。自分自身で確かめるにはいささかの覚悟がいるかもしれない。
命題は、「女であることは謎」である。

深い森に迷わされてきた女たちが、自分の身体と眼を通して自己意識を掌握する。女であることの謎解きが、呪縛を解くカギとなる。深い森の中からではまるで見えなかった意識の世界が、あなたの還りを待っていてくれる。

堀 紀美子

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タグ:女性運動 / 上野千鶴子 / 堀 紀美子