上野研究室

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ラディカルに語れば...―上野千鶴子対談集

2012.04.14 Sat

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フェミニズムは、多角的視点で捉えられた対話的な場を積極的につくりだしてきた。フェミニズムという豊かな運動は、70年代のラディカル・フェミニズムから今日へと、対話と多様な試行をくりかえし歩みを進めてきたと言える。
ラディカルということばは、根源的という意味を持っている。上野千鶴子さんと4人の対談者は、誰もがものごとを根源的にとらえる点でラディカルであり、目先のことではなく先進的に物事を見据える知性を持っている。書名「ラディカルに語れば」は、上野さん自身が思いを込めて名づけた。
対談の内容は平易なものではない。専門用語も多く、難解な部分を含んでいる。上野さんは言う。「どの対談でも、わたしと対談者とはけっして単純なことを語っていないから。」と。難解さを辛抱して、フェミニズムをメインストリームに据えた生き方を遂行しようとすればその先に、年を重ねるたびに、みずからの底を踏み抜いていく姿勢を身につけていくだろう。多様にそして豊かに変化していく思想―フェミニズムの根源を問い続けながら。
堀 紀美子

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タグ:女性運動 / 上野千鶴子 / 堀 紀美子