2012.06.30 Sat
c
男女共同参画社会の実現と履き違え、「男なみ」を目標に掲げ、女性は兵士になることも選択し、国家暴力の加害者となった。社会は、ジェンダー平等の罠にはまっている。フェミニズムとは、女にも力がある、女も戦争に参加できる、と主張する思想のことだろうか。
もし、フェミニズムが、女も男なみに強者になれる、という思想のことだとしたら、そんなものには興味はない。わたしの考えるフェミニズムは、弱者が弱者のままで、尊重され、生き延びるための思想だと。いかにかっこよく死ぬか、惨めに生き恥をさらさないことを勲章と思い込み、お国のため、自らの命を犠牲にしてまで、権力や名誉の名のもと、男らしさに必死にすがって死を選ぶ思想とは真逆の、弱者が弱者のままで尊重され、強者にも抑圧者にもならずに、女性、高齢者、障害者たちが生き延びるための思想が、ここに書かれている。
「逃げよ、生き延びよ。命よりも尊い価値など、ない」と。
あとがきにつけられたタイトル―「祈り」にかえて―は、上野さんが、無力に「祈る」ことを選ばないため、フェミニズムを選んだ、と言っている。本書は、「祈り」のぎりぎりまで傍まで行って、その手前でとどまろうとした者の思想である。この世で人間が引き起こした問題なら、人間が解決できるはずである。「祈り」に代わるものを、わたしたちは紡ぎだすことができるだろうか。
堀 紀美子
カテゴリー:イチオシ
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画





