2009.10.28 Wed
さてさて今回は「お料理企画」です!

ブックストアB-WANを支えるスタッフの中から希望者を募り、10月17日(土曜日)のお昼からWANの事務所(@京都・四条烏丸)に集まって、マンガに出てくる美味しそうなメニューを実際に作って食べてみました。
(WANの事務所にはキッチン&オーブンがあって本格的なお料理メニューも作れます♪)
◆◆どうしてお料理企画?◆◆
集まったのは、B-WANメンバー7人とゲストが大人5人+子ども1人、理事メンバーが7人。計20人。本特集のレポーターは、林葉子&荒木菜穂です。
しかし、なぜWANのブックストアで「お料理」なのか?
今回の企画、言い出しっぺは、B-WAN副店長・堀あきこさんでしたね。
堀さん、なんで「お料理企画」なんですか?
堀:「本を読むだけではなくて、本で遊ぼう! っていうことですね」
なるほど。
ところで、今回作る予定のメニューは、よしながふみ著『きのう何食べた? 』 (講談社)に出てくるものが中心なんですけれど、それには何か、理由が?
堀:
「お料理のマンガといえば、ほかにも『美味しんぼ』とか『ミスター味っ子』とか、いろいろあるんだけど、最終的に『きのう何食べた?』)に載っているメニューを作りたいっていう声が多かったんです。特にマンガに限定したわけではないんですが、小説よりマンガの方がイメージしやすかったのか、結果的にマンガばかりになりましたね」
ああ、そういう経緯だったんですね。
『きのう何食べた?』に出てくるメニューは本当に美味しそうに描かれていて、私(林)も前から「これ作って食べてみたーい」って思っていたんですよ。
そして、今回の企画の話が出た時から、「楽しそう!美味しそう!」ってことに加えて、WANらしさが出ている企画だな縲怩ニ思っていたのでした。
『きのう何食べた? 』という作品は、男性同性愛カップルの暮らしを「食べること」を中心にして描いている作品なのですが、同性愛者については、性的なことばかり強調する作品が多い中、あえて食を中心に描いたところが、さりげなくラディカルな作品なんじゃないか、と。
一緒に食べる関係って、大事ですよね。その相手が「恋人」であれ「仲間」であれ。
一緒に食べるっていうところから人間関係をつくっていく窶披狽サういうコンセプトを、「女性をつなぐ」WANでも共有できたら、楽しいと思いません?
荒木:
「私はそのマンガを読んだことがないのですが、ヘテロセクシズムにたいしポジティブに抵抗する側面がある素敵な作品なんですね」
林:
「うん、うん。そんな感じがするんです」
と、ここで、岡野八代さんが登場。われらがB-WANの店長さんです。
岡野:
「この本が面白かったのは、主人公が金を稼ぐオトコなのに、料理を純粋に好きで作るっていうところ。主人公に好感が持てる。描かれているのが男女のカップルだったら、料理をするっていうことが、女役割と結びついてしまうでしょう? でもこの作品の中では、料理するのが男だから、そういう性役割とは関係なしに気持ちよく読める」
荒木:
「たしかに、これが男女のカップルならばどのように描かれるのか、という想像もしてしまいますね」
荒木&林&岡野の三人で『きのう何食べた? 』の魅力について語っていると、マンガが大好きでとっても詳しい雪本真央さんも、話に加わります。
雪本:
「よしながふみの作品には美味しい料理がよく登場するんですが、中には、料理が下手な女性を描いたという作品もがあるんですよ。」
荒木:
「へえ縲怐Aそうなんですか?!」
そこで雪本さんが、よしなが作品の中では珍しく女性が料理をしている場面として見せてくれたのは、短編集・よしながふみの短編集『それを言ったらおしまいよ』 の中の「ある五月」。
手にとって、あまりのおもしろさに思わず読みふけるレポーター・林の横で、働き者の皆さんたちは、着々と料理の下ごしらえを進めてくれていたのでした・・・
※本のタイトルのリンクは全て第一巻へのリンクとなっています。
◆◆作って食べる!◆◆
今回の調理担当は、arichan(兼・カメラ係)、岡野八代さん、鈴木彩加さん、雪本真央さんです。
今回の「お料理企画」で作ってみたメニューのラインナップは以下のとおりです。
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くるみおにぎり (五十嵐大介『リトル・フォレスト』講談社【全2巻】より)
かぼちゃケーキ (よしながふみ『フラワー・オブ・ライフ』新書館【全4巻】より)
ポテトサラダ
ほうれん草入りラザニア
明太子サワーディップとバゲット
鶏肉の香草パン粉焼き(以上、よしながふみ『きのう何食べた?』講談社【3巻・刊行中】より)
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そしてこの他にも、岡野八代店長(プロ並みの腕を持つ、ザ・料理人)によるイタリアン・メニューがテーブルにたくさん並びました。
いや縲怐Aメニューを見ただけでも、美味しそうでしょ?
とっても美味しかったんですよ縲怐B
WANの読者のみなさまも、ぜひ一度、マンガを読んで楽しんで、作って食べて“三度美味しい”体験をしてみませんか?
◆五十嵐大介『リトル・フォレスト』 より、くるみおにぎり。◆
『リトル・フォレスト』 という作品には、東北地方のとある農村で暮らす「いち子」の農業と食の日々が描かれています。「くるみおにぎり」は、第1巻に登場。毎年稲刈りの時のお昼ごはんに、山でとれたくるみの味見をかねて食べるものです。
『リトル・フォレスト』で紹介される自然の食材を使った料理の数々、例えば「なっとうもち」「ひっつみ」「ばっけみそ」などは、寒さの厳しい地方での実感を伴った美味しさを感じさせるもので、しみじみと「食べたい」と思ってしまう・・・。
ときに折り込まれる料理にまつわる思い出、特に思春期のころに出ていってしまった母とのエピソードが印象的な作品です。

★レシピ
米・くるみ・醤油・酒
それぞれの比率は10:3:1で酒は少々。
(今回のWANイベントでは、くるみの割合を3.5くらいにして、くるみの香ばしさを出してみました。)
1、くるみをすりこぎですり、ペースト状にする。
2、洗った米とくるみ、醤油、酒をまぜ、炊飯する。
3、ご飯が炊き上がったら、味をみてお好みで醤油をたす。
4、おにぎりにする。
(マンガの中では普通のおにぎりでしたが、焼きおにぎりにすると、くるみと醤油の香ばしさが引き立ってさらに美味しいです!)

★参加者の感想
「美味しい! 中まで味がしみてる縲怐v「くるみの食感や風味がご飯とケンカせず味付けにとてもマッチしてる」と大好評!!
◆よしながふみ『フラワー・オブ・ライフ』 より、かぼちゃケーキ◆
病気のため1年遅れて入学した春太郎とクラスメート達の高校生ライフ。
雪本 「高校生という少し大人に近づいた時期の自由さと、大人になったなりの難しさが描かれていて、共感しながら自分の高校時代を思い出せる作品です」
かぼちゃのパウンドケーキは春太郎の家でクラスメート達が試験勉強に集まったとき春太郎の姉がおやつとして出したもの(第2巻)。

★レシピ
かぼちゃ 120グラム
バター 120グラム
砂糖 120グラム
小麦粉 100グラム
ベーキングパウダー 小さじ1/2
全卵 2個
牛乳 20cc
(マンガの中では、バターの味が香り高い3時のおやつとして登場しましたが、今回のWANイベントでは食後に食べるものなので、甘さ控えめにつくることにし、バターと砂糖は各80グラムくらい、小麦粉を120グラムにして作ってみました)

1、皮をとったかぼちゃをレンジであたためやわらかくし、バター20グラム、砂糖20グラムをまぜペースト状にする。
2、バター100グラムを室温にし、ボウルにバターを入れてよく混ぜ、クリーム状にする。
3、そこに砂糖100グラムをいれまぜる。
4、この中に溶いた卵を少しずつ加えて牛乳もいれてまぜる。
5、最後にベーキングパウダーと小麦粉をいれサックリとまぜていく。
6、この生地を型に流し込みその上にかぼちゃペーストをのせマーブル模様にかきまぜる。
7、170度にあたためたオーブンで45分から55分焼くと、できあがり。
★作ってみた&食べてみた感想
「かぼちゃの皮は、はじめに2分ほどあたためておくと、取りやすかったよ」
「使用するオーブンによって違うのかもしれないけど、今回は、40分くらいで、ちゃんと焼き上がりました縲怐v
「今回は、マンガのレシピより砂糖とバターを少なめにして作ってみたわけだけど、これでも十分しっとりしていて、美味しいね」
「うん、かぼちゃの甘さが優しい感じ」

◆よしながふみ『きのう何食べた? 』 より、ポテトサラダ◆
ポテトサラダが登場したシーンは、セロリと牛肉のオイスターソース炒めがメインのお料理(2巻、第12話)。ポテトサラダは、その副菜でした。
鈴木 「私は、普段ポテトサラダを作るときに結構時間がかかってしまうので、簡単に作れるポテトサラダってどんなもんだろうと思い、この企画で作ってみることにしました!」

なるほど。
日常的に食べたいメニューだからこそ「簡単に作れる」ってところが重要なポイントですね。で、その作り方が、こちら↓
★レシピ(4人分)
<材料>
じゃがいも(中4個)、たまねぎ(半分)、きゅうり(2本)、マヨネーズ、ドレッシングビネガー(お酢でも可、今回はドレッシングビネガーを使用)、塩、こしょう、砂糖、牛乳(150cc)、顆粒コンソメ
<作り方>
1.たまねぎを薄くスライスし、塩をふってよくなじませる
2.じゃがいもにラップをしてレンジで3分。ひっくり返してさらに3分
3.たまねぎがしんなりしたら水洗いして水気をきる
4.大きめのボウルにたまねぎを入れ、牛乳、ドレッシングビネガー、顆粒コンソメ、砂糖を入れる
5.4にじゃがいもを入れ、皮をむいてつぶす
6.きゅうりをスライスして塩をふる(もまないこと)
7.5の粗熱がとれたら水けをしぼったきゅうりと塩、こしょう、マヨネーズを入れ、冷蔵庫で少し冷やして完成
★作ってみた&食べてみた感想
「簡単にできるよう工夫されていますね。じゃがいもを皮付きのままレンジでチンすることで、ピーラーやまな板を使わなくてすむし、洗い物が極力出ないように考えられたレシピだと思いました」
「牛乳を入れることで、じゃがいもがパサパサせず、しっとりとできておいしかった!」
「ポテトサラダというとマヨネーズに味付けを頼ってしまいがちだけど、ドレッシングビネガーと顆粒コンソメを入れることで味に深みが出ている!」
「ハムや玉子、にんじんなどを入れてもいいかもね」
「前の回の残り物を使って料理しているのが、このマンガの良さですね縲怐v
◆よしながふみ『きのう何食べた? 』 より、ほうれん草入りのラザニア、明太子サワーディップとバゲット、鶏肉の香草パン粉焼き◆
★マンガでは
この三品は、『きのう何食べた? 』 の主人公・シロさん&ケンジにとって、大切な思い出のクリスマス・メニュー。
お料理が二人の関係をつないでいることが、あったかく伝わる場面です(2巻、第9話)
「シロさんは忘れちゃってるみたいだけど…今日の料理ってシロさんが初めて俺に作ってくれたメニューなんだよね」
「あの時シロさん きっと レパートリーの中で一番のごちそう 俺に作ってくれたんだよね」
そんな大切なメニューを、ケンジはシロさんに毎年リクエスト。
そして一緒に暮らして、三年とすこしの二人です。
[siteimg align=left]uploads/photos/101.jpg[/siteimg]←ラザニアの写真に注目!
これは、『きのう何食べた? 』第二巻の14ページの1コマ目、完全再現しました(笑)
横のお箸まで・・・でもよく見たら実はラザニアの生地の向きが逆だった。
本をお持ちの方は、ぜひぜひ見比べてくださいませ。
★レシピ
★ほうれん草入りのラザニア
A(ミートソースを作る)
・にんにく1かけ、セロリ1本、タマネギ1個、ニンジン1/2本のみじん切りをよく炒めたら、豚ひきにく入れて、さらに炒める。
・そこにトマトの水煮缶1缶を入れて、トマトを煮くずして、その缶に2/3ほどの水を入れて鍋に注ぐ。固形コンソメ2個、砂糖少々、ローリエ、バジル、オレガノ、最後に塩こしょうで味を調える。
B(ホワイトソースを作る)
・バター30グラムを鍋で溶かしたら、そこに小麦粉大さじ2を入れて、中弱火で炒める
・粉けが無くなったら、牛乳300ccを少しずつ加えて、とろみがつくまでかきまぜながら煮て、最後に塩こしょうして、できあがり。
C(ラザニアをゆでる)
・ラザニア6枚は、サラダ油少々と塩大さじ1を入れた湯で、くっつかないように気を付けながら、表示通りゆでて、ザルに取る(ラザニアはくっつきやすいので注意)
D(ほうれん草をゆでる)
・ほうれん草は1束は、塩少々を入れた湯で、おひたしと同じにゆがいたら、水にとって、その後、水気を絞り、ざく切りに。
耐熱皿に、上記Aを1/4塗ったら、その後Cを2枚、Bを1/3とDを1/3、ピザ用チーズ、Aを1/4、パルメザンチーズ、というのを3回繰り返す。
これを天火で焼いて、ラザニアのできあがり。

★明太子サワーディップとバゲット
100グラムのサワークリームに対し、明太子一腹くらいの割合で、ほぐして、まぜあわせるだけの、簡単メニュー。

★鶏肉の香草パン粉焼き
・パン粉大さじ3、パルメザンチーズ大さじ2、ニンニクのみじん切り1かけ分、塩小さじ1、こしょう・オレガノ・バジル各少々に、オリーブオイル大さじ2を混ぜ合わせる。
・この香草パン粉を、鶏もも肉1枚を4つに切って耐熱皿に並べたものの上にかけて、200℃のオーブンで17縲・8分くらい焼いて、できあがり。
(これは冷めてもおいしいから、ラザニアより先に焼いておく)

★作ってみた&食べてみた感想
「マンガの中では、このレシピの量を2人で食べているけど、それはちょっと多いんじゃない!?」
「とくに、明太子サワーディップとバゲットは、カロリーがすごいよね(サワークリームは100グラムで400カロリー近くあります!)・・・これを食べていて主人公が太らないなんて、すごいね」
「でも、材料が明太子とサワークリームだけとは思えない深い味わい! さっぱりしていてコクがある! 作るのは簡単なのに、美味しくって、ワインによく合う縲怐v
「この明太子って、普通にスーパーで売っているものですか?」
「いえ、これはね、デパートで買ったものなんです。明太子を厳選すると、粒々がしっかりしていて、こんなふうに美味しくできあがるの」
「ああ、やっぱり素材の良さが大切ですね」
「チキンも香辛料がきいていて美味しいね。ちょっと塩が利いていて、お酒に合うね」
「香草の香りが強いけれど、優しい香り」
「マンガで使われていた香草は、オレガノとバジルだけだけど、今回の企画ではタイムも入れてみたんだよ」
「なるほど、いい香り縲怐v
「鶏肉は、皮がついたまま焼いているのに、油っぽくなくて、ジューシーって感じだね」
「これは、鶏肉一枚を四つに切るってところがミソだよ。これ以上細かく切ると、このジューシーさがなくなっちゃう気がする」
「この鶏肉がさわやかな感じに仕上がったのは、オリーブ油を使ったからかもね」
「ラザニアは、チキンのスパイシーな感じとは対照的にクリーミーだね。ホワイトソースがまろやか!」
「野菜がいっぱい! ほうれんそうがよくきいているね」
「チーズがたっぷりで、本に書いてあるように『とろーり、あつあつ』!」
「三つを調理してみて、本当に料理好きな史郎が、細部まで意識しながら作っているんだって実感したよ」

◆◆「お料理企画」イベントを終えて窶披拍欄ッ士でご飯を作って食べるということ◆◆
一緒に食べながら、一緒に話しながら、進めていく。
楽しい企画でした。
一緒に食べること自体、とても楽しいことだけれど、それだけじゃなく「女と料理」という関係性に染み付いた女役割からいったん離れて、女が女のために作る、女同士が一緒に作って食べることを通じて、もっと料理を楽しみたい!・・・そんな気持ちで皆で取り組んでみた企画です。
結果としては、大成功でした!
ねえねえ、arichan、今日の企画はどうでした?
arichan 「私は、すぐ『料理は労働だ竏秩I』(byアーレント)なんて思ってしまうのですが、一方で、本当はもしかしたらすごく豊かな関係性とか幸福感とか時間の使い方とか、人間にとってとても大切なものが含まれているはずの『料理』が『労働』に絡め取られてしまっているような気もしていました。それを労働に絡め取る力学はやっぱりジェンダーなのでしょうね・・・。女役割・奴隷役割や日々の忙しさに追われる中での家事は決してよいものではないけれど、今日の料理は、既存の『料理=労働』という図式とはちょっと違うものがあって、料理の幸せで楽しい一面を感じ取れたような気がします」
おっ、さすがarichan、最後にビシッ!とまとめてくれました。
arichanをはじめ、調理にあたった皆さま、ごくろうさまでした。
特に岡野店長は、ずっと立ちっぱなしで、スタッフのために美味しい料理をたくさん作ってくれましたね。
「大変ですね・・・疲れませんか?」と尋ねたら、
「いえ、もう、こうやってB-WANスタッフのためにお料理することが、楽しくてしかたないんですよ」というお返事が返ってきました。
ありがとうございます & ごちそうさまでした!
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