働く女の腹の底 多様化する生き方・考え方 (光文社新書)

著者:博報堂キャリジョ研

光文社( 2018-04-17 )


 株式会社博報堂・博報堂DYメディアパートナーズの女性有志社員によるプロジェクト「博報堂キャリジョ研」より初めての書籍『働く女の腹の底』が刊行されました。

 「キャリジョ」とは「キャリア(職業)を持つ、特にお金と時間を自分のために使いやすい子どものいない女性」のこと。今回の本では、多岐にわたる調査を行った上で、時間とお金の融通が比較的効きやすい女性たちに焦点を絞ったことで、多様化が進む中、実像の見えにくくなった現代の女性たちの一側面をリアルに描くことに挑戦しました。

 中でも特筆すべきは第3章の「キャリジョクラスター」分類です。

 仕事やプライベート、生活全部に全力投球する『モーキャリ』・気の合う仲間、家族との生活を最優先にする『ちょいキャリ』・自分の趣味や情熱を最優先に生きる『割りキャリ』・仕事に真っすぐ向き合い続けるプロフェッショナルの『プロキャリ』・たゆまぬ「自分磨き」に邁進する『乗っキャリ』・現状維持志向の強い『凡キャリ』・「いいね!」が大好きな『キラキャリ』。
複雑な現代の女性たちを、それぞれの特徴から7つのモデルにあえて分類し、そしてそれぞれのクラスターの架空の生活を物語調に構成したことで、「知り合いにこんな人いたっけな?」と勘違いしてしまいそうになるほど現実に近い描写が可能になりました。
加え てSNS上で使われる「#」(ハッシュタグ)機能を紙上で再現するという新書史上初(?)の試みは、それぞれのクラスターの日常をつぶさに活写することに成功しています(特に電子版との相性が良いです)。

 それぞれのクラスターの物語は、あくまで一つのモデルにすぎず、「本当の」現実では、それぞれのクラスターの要素を組み合わせながら生きているわけですが「ああこういう人いるいる……本当はこういうこと考えてるんだなあ」と周囲の人たちの理解に役立ててみたり、「自分にもこういうところあるかも!」と自分の反省に生かすことができたり……とお読みになった方によって、様々な感想を持っていただけるような章、ひいては一冊になったのではないかと考えています。
あらゆ ることがひとところにとどまることなく、ダイナミックに動いている時代における、一つの記録としても読んでいただけると嬉しいです。

 ツッコミ待ち(?)の表紙いっぱいの顔が目印です。ぜひお手にとってみてください。