女の本屋

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『妊娠――あなたの妊娠と出生前検査の経験をおしえてください』柘植あづみ + 菅野摂子 + 石黒眞里[共著]

2010.01.15 Fri

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女性は妊娠することによって医療と深く結び付けられ、さまざまな選択を迫られるようになる。産むのか産まないのか、どの医療機関に行くのか、胎児の障害や疾患を見つけるための出生前検査を受けるのか受けないのか、胎児の障害や疾患などが見つかったらどうするのか、胎児の性別を知るのか知らないままでいるのか、どこでどんな方法で産むのか。これに結婚するのかしないのか、仕事を続けるのか、育児休暇はどれだけとれるのか、それとも仕事を辞めるのか、あるいは離婚したり再婚したりまで入ってくる。妊娠も出生前検査も、自分にはもう関係ないというかたが多いかもしれない。

ところが、残念ながら、妊娠と出生前検査をとりまく社会を構成しているメンバーであるという事実からは逃れられない。
出生前検査。日本では1960年代末から「不幸な子が生まれない運動」がはじまり、それに対して障害者運動から激しい批判と運動が展開され、「運動」はとりやめになる。ところが、その後も出生前検査は進展しつづけ、現在も医療のなかに「選択」としてある。さらには、誰もが妊娠したら当たり前に受ける超音波検査でも、妊娠の早いうちに胎児の障害がわかることがある。

そして、胎児に「重い」障害や疾患が見つかったら中絶がもっとも選ばれる選択でもある。この本は20世紀末から21世紀初頭に妊娠を経験した女性たちの妊娠と出生前検査をめぐる「選択」とその理由を描きだしたものである。妊娠と出生前検査をめぐって、どんな選択をしたのか、なぜそうしたのかについて、375名へのアンケートと26名へのインタビューによって、しつこくたずねて掘り下げた本である。

そこからは、女と男の妊娠をめぐる関係や親子の関係、医療者と妊婦の関係、障害児を産んで育てることと障害に対する意識、女性が働きつづけることをめぐる環境、あふれる医療情報とそれに振り回される人びとの様子が見えてくる。出生前検査を受けた人が抱えた葛藤や矛盾、重い経験、女と男のそれぞれの「エゴ」や「他者理解」が描かれる一方で、検査を受けないという選択をした人の、障害を持った子どもを産むことの「覚悟」と「知らないままでいる」という逃げ、医師とのコミュニケーションから生じる誤解がもたらす選択や、情報の間違った理解からの選択も映しだされる。

さらに、「妊娠」をめぐる政治を知ることによって、妊娠をめぐってさらに深い闇と光を抱える社会と、この時代に妊娠することの意味することが見えてくる。

妊娠をめぐる女と男の物語、働く女性のキャリアと妊娠をめぐる物語、医療への幻想に振り回されたりそれをやりすごしたりする物語としても読める。おまけとしてアンケートの自由記述欄の回答のほぼすべてを載せた。さまざまな妊娠と出生前経験の経験から、あなたは何を思うのか(柘植あづみ)。








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