2010.01.16 Sat
もともとのタイトルは「The Voice That Remembers」という。
記憶するその声――――。
彼女は1949年に始まるチベット侵略と、その後の長く残酷な支配の歴史を、今も生きている「当事者」だ。
1950年代、中国共産党への抵抗運動に参加し、女性組織を運営した彼女は、政治犯として投獄された。
27年間にもわたるチベットの監獄生活がどのようなものか、そして釈放後の哀しみがどのようなものだったのか、私たちは本書で目にすることになるだろう。 アデは奇跡的に生き残った。生き残ることのできなかった多くのチベット人の声を伝えるために、ただそれだけのために生き残ったのだという。
ヒマラヤを越えて亡命した彼女が語る、故郷チベットの記憶の鮮明さ。その多くはあまりにもむごく悲しい体験談だ。しかしそれでも目を背けることなく最後まで一気に読ませられてしまうのは、彼女のあまりにも強い決意と意志が、読者の心をつかんで離さないからだろう。
「なんとかして彼らの生きていたあかしが、人々の記憶から拭い去られないよう、忘れられないよう、混同されないようにすることを、いまは亡き人たちに約束したのです。私にとっては、この約束を果たすことが、いま生きている唯一の目的なのです。」
記憶することが彼女の抵抗だ。忘れないこと、語ることそのものが。(tsering)
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