浜野佐知監督の新作映画『雪子さんの足音』の制作が進んでいます。原作は、第158回(2017年下半期)芥川賞候補の、木村紅美の小説『雪子さんの足音』(講談社)。

月光荘の大家で、不思議な謎を抱えたまま孤独死をする主人公、川島雪子を演じるのは、浜野監督作品ではおなじみの吉行和子。雪子さんの「闇」に翻弄される語り手、遊佐薫を、新人の寛一郎(かんいちろう)が演じます。キャストには、菜葉菜、大方斐紗子といった名前もあり、今からどんな演技が見られるのかワクワクします。(映画『雪子さんの足音』を紹介する公式ウエブサイトはこちら

浜野監督作品はスポンサーをつけないため、今回も、制作費のカンパを募集しています。日本映画界でスポンサーをつけたら、損得抜きで映画を作ることが難しくなるから、というのがその理由。撮影は6月にクランクアップしたものの、これから編集や広告の準備のために、まだまだ資金が必要とのこと。「映画「雪子さんの足音」を支援する会」が作成されたチラシ(下記リンク)には、支援方法の詳細が明記されています。この機会に、お一人でも多くの方に応援をしていただければ幸いです。

「女の性」を描き続け、これまでに300本を超えるピンク映画を制作されてきた浜野監督は、1990年代後半から『第七官界彷徨-尾崎翠を探して』『百合祭』『百合子、ダスヴィダーニヤ』などの、主体的にわたしを生きる女性や、女の性とセクシュアリティをめぐる葛藤を描いた一般映画を、自主制作で撮っていらっしゃいました。今回の新作は、それらに続く6本目となります。「「とんでもない婆さんの役をやりたいわ」という吉行和子さんの一言から、今回の企画が動き出した。」という浜野監督のコメント(チラシより引用)にも、作品への興味がふくらみます。

この夏、WAN「シネマラウンジ」では、浜野監督のこれまでの作品をご紹介する記事を順に掲載してまいります。新作の支援方法には「旧作のDVDを購入する!」という方法もありますので、ぜひ、ご購入の参考にしていただけたら嬉しいです。(中村奈津子)

雪子さんの足音

著者:木村 紅美

講談社( 2018-02-02 )

女が映画を作るとき (平凡社新書)

著者:浜野 佐知

平凡社( 2005-01-01 )