女の本屋

views

803

労働と身体のあらたな関係を考える『働く女性とマタニティ・ハラスメント』 杉浦 浩美

2010.01.31 Sun

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.

 「生物学的な性差があるかないか」。この問いは、フェミニストにとってはジレンマだった。「ある」と答えればジェンダー役割を認めることになり、「ない」と答えれば男性基準で働かざるを得なくなる。だからこそ、これまでのフェミニストたちは、妊娠・出産という「産む性」だからといって、家事・育児という「役割」を押しつけられる理由にはならない、と主張してきた。そこで、「産む性」という女性の特殊性をなるべく強調しないという戦略がとられることになる。つまり、「産む」という行為や妊娠という女性の身体にまつわる問題は研究の対象とされず、ずっと置き去りにされてきたのだ。 でも実際、妊娠という身体的制約を抱えながら働くことには不安や困難を伴い、職場での理解や支援が得られなかったり、周囲からの心ない発言や態度など、<マタニティ・ハラスメント>ともいえる状況がある。いまだ、妊娠・出産を理由とする女性の退職は約70%。本書は、そんな状況下でも働き続ける女性たちの経験から、身体と労働のあり方を問い直すあらたな可能性を見いだしている。「産む身体」が労働領域に侵出していくことが、男性を基準とした「労働する身体」に対する異議申し立てとなる、と。
 働く妊婦が体験する<マタニティ・ハラスメント>の実態を、インタビュー調査に基づいてリアルに描き出す。現実を知るためにオススメしたい1冊。(mooty)








カテゴリー:わたしのイチオシ